EDEN SESSION<Pixies plus tricot>
Pixies、tricot@Eden Project in Cornwall

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ロンドン公演の翌日は驚きのビッグ・マッチ、何と伝説のオルタナティブ・ロック・バンド、ピクシーズのサポート・アクト。ピクシーズという名前自体にも驚きを隠せないが、日本をベースとして日本語で歌うtricotが、日本公演でのサポート・アクトではなく、イギリス公演でのサポート・アクトを務めるというのは、快挙といってもいいだろう。

この日の会場であるEden Projectは、非常にユニークな場所だった。ロンドンから延々と続く美しい草原を5時間ほど車で走り続けると、イギリス西部・コーンウォール州に位置した、複合環境施設と呼ばれるこのEden Projectに辿り着く。海を望む高台の素晴らしいロケーションにあり、まずその敷地に入ってきて目につくのは、蜂の巣のように五角形や六角形が組み合わさって出来た、巨大な透明の半球体ドーム。しかもそれがいくつもある。バイオームと呼ばれるこのドームは、それぞれ様々な気候をその内部に再現するように造られていて、多種多様な植物を育てているという。植物やガーデニング、環境について学ぶことができる、レジャー施設でもあり、社会的・教育的な施設でもあるいうことだ。

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そのような意義のある場所で、2002年から定期的に開催されている<EDEN SESSIONS>という音楽イベントにこの日、tricotとピクシーズが出演することになる。過去、プライマル・スクリーム、ベースメント・ジャックス、フレーミング・リップス、エイミー・ワインハウス、ジャック・ジョンソン、ポール・ウェラーなどが出演する素晴らしいイベントで、今年は同時期にディジー・ラスカルなども名を連ねていた。

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さて、このレジェンドとのビッグ・マッチ、肝心のライブはどうだったかというと、やはり前日のロンドンでのライブやこれまでのフェスとは様子が違った。お客さんは9割以上、ピクシーズを観に来ているだろう。若い人もちらほらいるが、平均的に年齢層ももちろん高め。どこの馬の骨か分からない東洋のバンドのオープニングを冷たい雰囲気に包むことは決してなく、少しばかりの好奇心と拍手で暖かく迎え入れてくれたが、冒頭は棒立ちのまま、手拍子を煽ってもノってくるようなことはあまりなく、品定めをするかのようにパフォーマンスを眺めていた。しかし、1曲1曲が終わるごとに曲終わりの拍手と歓声が大きくなり始め、ピクシーズの観客にも日本のtricotが少しずつ受け入れられていく様が明らかに見てとれた。

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公演後、物販ブースに立つtricotの姿があったのだが、tricotの演奏を見てくれた人達が次々に「Awesome!(最高!)」と声をかけてくれ、Tシャツを買い、写真撮影とサインを求めてくれる。日本だと、アーティストに声をかけてくる人たちの多くが、元々アーティストを知っているファンの人達で、なかなか自分が全く知らなかった無名のアーティストに声をかけ、サインや写真撮影をお願いすることは少ないのではないだろうか。そういった意味で、こちらの人達は自分の感覚に非常に従順で、素直だと感じられる。良いと思えば、良い、とそのまま表現する。そういった純粋な感受性が、tricotを世界に届ける助けとなってくれていることを痛感した。結局、ピクシーズのお客さんだろうと(だからこそかもしれないが)、ここ何戦かの戦いに勝利し続けたライブ・パフォーマンスで観客たちをしっかり取り込んだtricotは、この日準備したアナログ盤を即完売し、Tシャツも飛ぶように売っていた。

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せっかくなので、ピクシーズのライブにも少し触れておくと、そのライブは正にオール・タイム・ベストな内容。1987年に発表された1stミニ・アルバム『Come On Pilgrim』から、今年の4月に発売された23年振りのニュー・アルバム『Indie Cindy』の楽曲まで、29曲というロング・セットの中でしっかりと演奏してくれた。1曲目“Rock Music”から、来年50歳になるというブラック・フランシスの絶叫は健在、ただし、ただ激情の叫びを上げているというよりは、そのスクリーミングが円熟した歌い回しになっていて、渋みさえ醸し出していた。一番気になっていたキム・ディールの抜けた穴も、代わって昨年末よりサポートを務めているパズ・レンチャンティンがしっかり埋めていて、コーラスワークもベースプレイも柔和で可憐な佇まいでこなし、これまでのバンドの雰囲気をしっかりと保っていた。そして、会場のボルテージが最高潮に達する瞬間は、やはり最高傑作とも謂われる2ndアルバム『Doolittle』からの楽曲“Wave of Mutilation”、“Monkey Gone To Heaven”や“Debaser”など。この楽曲たちが後世の音楽シーンに与えた恩恵を感じながら聴くと、やはり感動を覚えざるを得なかった。

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ちなみにこのアルバムとtricotのメンバーは、実は同い年。その間カート・コバーンやレディオヘッドに多大なる影響を与え、また、和製オルタナティブ・ロックの代表格・ナンバーガールも“Wave of Mutilation”のカバーを自身らの作品に収録するほど大きな影響を受けている。そして、tricotのメンバーはピクシーズというよりは、これら後続バンドからの大きな影響を公言していることを考えると、結果的に両者の音楽性自体は異なる部分が大きいにも関わらず、ピクシーズとtricotが四半世紀を経て同じ舞台に立っている。そういった事実から、音楽が人の感性に乗って優にこれだけの時代と場所を旅して繋がる神秘というものを感じざるを得ない日であった。
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All Photos by Viola Kam (V’z Twinkle)

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