覚的にも視覚的にも、独特の美意識に溢れているヘヴィメタルの世界。そのアルバムジャケットには、ヘヴィメタルの創世記から愛され続けている定番のモチーフが幾つか存在しています。悪魔、骸骨、ドラゴン、天使、戦士、セクシーな女性などなど。そんな中でも、特に過激で強いインパクトを持っているモチーフが戦車です。何故か、ヘヴィメタルの人たちは戦車が大好き。

例えば、本年度の<フジロック>に待望の参戦を果たすモーターヘッド(Motörhead)。そのリーダーのレミー・キルミスターは、大のミリタリーマニアとして知られており、その生き様を追ったドキュメンタリー映画『極悪レミー』の劇中では軍服を着て戦車に乗せてもらい、ご満悦の表情を浮かべるシーンがあります。

映画『極悪レミー』予告編

ヘヴィメタルの始祖たる偉大なゴッドファーザー、レミーも大好きな戦車を他のヘヴィメタルバンドが嫌いなハズがありません! そんなわけで、世の中にある戦車ジャケなアルバムをいくつか紹介しつつ、その魅力に迫ってみます。

バンド名との矛盾が凄い戦車! ASSASSINの『Upcoming Terror』

【なぜ?】ヘヴィメタバンドは戦車がお好き。その魅力に迫る! music150409_sensha_1

先ずは、この盤をご紹介。ドイツのスラッシュメタルバンド、アサシン(ASSASSIN)の1st.アルバム『Upcoming Terror』です。アサシン(暗殺者)というバンド名にも関わらずジャケットは戦車! 普通、暗殺者って毒を盛ったりとか、長距離ライフルで狙撃したりとか、車に爆弾を仕掛けたりとか、そういう人目に付かない忍んだ行動をするものだと思います。しかし、コイツ等は堂々と戦車を使用。暗殺者なのに戦車で標的に近付いたら目立ってしょうがないのではないか、と心配になるのは私だけでしょうか? バンド名はアサシンなのに、ド派手な戦車に乗っちゃうゴルゴ13もビックリな、この強烈な自己矛盾。しかも、この戦車、砲台からはビームみたいなものも出てます。よくよく観ると、車体もキャタピラじゃなくてホバーか何かで動いてるようですし、この80年代のロボットアニメみたいなノリが堪りません。

音の方は、所謂“ジャーマンスラッシュ三羽烏”(デストラクション、クリーター、ソドム)と同じく、凶暴なサウンドが楽しめるアルバムとなっています。このガチャガチャ加減とヤケッパチのスピード感は、スラッシュメタルファンにとって何よりの快感です。ちなみに、このアサシン。2nアルバムには何故か日本語タイトルの”BAKA”という珍曲も存在します。現在、『Upcoming Terror』は、その2ndとのカップリングアルバムという形で再発中。少しマニアックなバンドではありますが(ただし、来日経験あり)、デスロウやグリンダーといった同国の三羽烏以外のジャーマンスラッシュメタルバンドと同じく、マニアックなリスナーには必聴のバンドです。

[amazonjs asin=”B0000088T9″ locale=”JP” title=”Upcoming Terror”]

次ページ:ドロドログチャグチャなヴァイオレンス戦車!