2014.11.04(TUE)@Aoyama Hachi, Aoyama Oath, Aoyama Tunnel
Red Bull Music Academy presents 6852:Stratovolcanic Vinyl

コードを掘る行為を指す「ディグ」はDJにとって自身の選曲の幅を増やすために必要不可欠であり、ディグの量とスキルがDJの質を決めるとも言える、神聖なプロセスだ。 本イベント<Red Bull Music Academy presents 6852:Stratovolcanic Viny>は、日本列島を形成する全6852の島の数からかき集められた……と比喩してもよいほどの「ディグのプロ」たちによる共演となった。

隣接し合う会場・青山HATCH、TUNNEL、OATHのビル前には、連休明けの平日にも関わらず、浅い時間帯から人が溢れていた。半分近くが海外からの客層で、旅行の途中で寄ったという人や、結婚して昨日来日したという人も。当日全体に広がっていた「自由に、それぞれのペースで楽しむ」という海外特有の空気感は普段なかなか体験できない分、個人的にとても嬉しかった。

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(photo by Yusaku Aoki)

ビル前でチルアウトする人たちの身体をも揺らしていたのは、OATHのオープンラストでプレイしたBen UFODJ Nobu。数曲毎に交代する長めのB2B、6時間以上のプレイにも関わらずフロアは終始すし詰め状態で動くのもやっと。ジャンルはもちろんBPMすら縦横無尽のフリーな選曲で、この日のクラウドを最も確実に捉えていた。

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Ben UFO(photo by Dan Wilton)

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DJ Nobu(photo by Dan Wilton)

続いて天井の低いアジトのようなTUNNELへと降りると、こちらもほぼ満員の状態。まだネット上にもほとんど情報のない、南アフリカのテクノシーンの新星・キング・ブルースが、ボンゴのリズムで古代へと時間を歪ませ、それはTUNNELのやや深い妖しげな空気と呼応する。

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キング・ブルース(photo by Yasuharu Sasaki)

丸めがねがかわいいValesuchiがプレイしていたのはHATCHの2F。TUNNELに比べるとクラウドの数は少ないが曲と向き合いたい人には最適な混み具合で、気分の良いサブラウンジ感がある。この日最も骨太&硬質な選曲だったのは間違いなく彼女で、見た目に気をとられて完全に油断していた腰に刺さり続けた。数十分後にはアシッドハウス主体から徐々にハッピーなラテンハウスへと選曲が移行。みんなが幸せになれる曲ってこういうことなのか〜! と、一人でアホなことを思った。

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Valesuchi(photo by Yusaku Aoki)

朝方(5時?)になって外へ出たが、終わる気配は全くナシ。あの日の会場には音楽と遊ぶのが大好きな子どものような大人たちが集まって不思議と上品な空気を作り出しており、その成分は紛れも無くDJたちの異常な量のディギンによって積み立てられた上質な音楽だった。

text by Kentaro Okumura

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