ピーター・ビヨーン・アンド・ジョン(Peter Bjorn and John)というスウェーデン出身の3人組バンドをご存知だろうか? 「口笛ソングってわかる?」と聞かれれば「あぁ、あの曲か!」と思い出す人も多いだろう。そう、2006年に“Young Folks”で世界中のヒットチャートを席巻したバンドである。

そんな、ピーター・ビヨーン・アンド・ジョンは前作『ギミ・サム』から5年ぶりとなる7枚目のアルバム『ブレイキン・ポイント』をリリース。メンバーのビヨーン・イットリングはプロデューサーとしても活躍しており、プライマル・スクリームやリッキ・リーなどの有名アーティストのプロデュースも手掛けている。そのプロデュースの手法からもわかるようにミニマルな生音へのこだわりを新作でも垣間みることができる。もちろん、そのこだわりは新作にも反映されている。

今回は、ピーター・ビヨーン・アンド・ジョンの略歴と背景を紹介しつつ、まるで12曲のシングルを集めたかのような、新作『ブレイキン・ポイント』の魅力を徹底解剖する。

全曲シングル級のポップソング集!ピーター・ビヨーン・アンド・ジョンの『ブレイキン・ポイント』の魅力を徹底解剖! music160719_PBJ_2

まずは彼ら略歴から振り返ってみたいと思う。ピーター・ビヨーン・アンド・ジョンはスウェーデン出身の3人組バンド。1990年代後半にピーターとビヨーンが学校で出会いバンドを結成したのが始まり。首都ストックホルムに引っ越したのを期に最初のバンドは解散してしまったが、ストックホルムでジョンと出会い1999年にピーター・ビヨーン・アンド・ジョンが結成される。当初は趣味としてのカジュアルなバンド活動であったが、2000年代前半にはアルバムやEPをリリース本格的にバンド活動を開始した。

そして、2006年にリリースされ3 枚目のアルバムとなった『ライターズ・ブロック』に収録されている“Young Folks”が世界的な大ヒットを記録。世界のヒットチャートを席捲する。アメリカ3大フェスの一角<ロラパルーザ>に出演したり、CMソングとして“Young Folks”が起用されたりするなど世界的に有名なバンドへと飛躍を遂げた。

Peter Bjorn And John – Young Folks

2012年にはアーティスト集団とレーベルの2つの側面を持つ〈イングリッド〉を設立。ピーター・ビヨーン・アンド・ジョンを筆頭にリッキ・リー、マイク・スノウのメンバーなどスウェーデン出身のアーティストが所属している。最新作『ブレイキン・ポイント』も〈イングリッド〉からリリースされており、レコーディングにはビヨーンらが所有するスタジオ「イングリッド・スタジオ」で行われた。このスタジオは世界的に有名になる前のアバもレコーディングで使用していた老舗スタジオである。

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