前作4年を経て最新作『デス・エクスプレス』リリース

さて、このような足跡を辿り、前作から4年を経てリリースされるのが最新作『デス・エクスプレス』だ。本作のタイトルは、アメリカの西海岸沿いを縦断する州間道5号線(I5と呼ばれるその道路は、昨年発表されたシングル“I.5.C.A”にも引用されている)を、ツアー中タイトなスケジュールで移動した体験から着想を得ているという。ツアーでの疲弊と言えばミュージシャンには昔から付き物だが、リトル・バーリーはその経験からこんなにも美しく、新しいロックンロールを生み出した。

リトル・バーリー「I.5.C.A. (アイ・ファイブ・シー・エー) 」

バンド初のセルフ・プロデュースによってレコーディングされたという事実からも分かる通り、ここで彼らは以前よりも明確に自らのやりたいこと、鳴らしたいサウンドが見えていたのだろう。“Why Don’t You Do It”の流れを汲む、妖しげなサイケ・ギターが鳴り響くインスト・ナンバー“Rejection”で幕を開けると、そこから展開されるのは臨場感たっぷりに火花を散らす3ピースのスリリングなプレイ。“I.5.C.A.”や“New Disease”では、構成自体はシンプルなギター・リフ中心の楽曲の中で、バーリーのギターが次々と音色を変えていき、ヴァージルのドラムも熱の高まりと共に手数が多く派手に弾けていく。特に、本作からのリード・シングルとなった“Love Or Love”は、ギター、ベース、ドラムが先を競うようにテンション高くぶつかりながら疾走する、今後ライブのハイライトになること間違いなしのご機嫌なロックンロール・ナンバーだ。

Little Barrie – Love or Love

演奏面では、屈指のライブ・バンドである3人のインタープレイが重視されていると同時に、スタジオで練られたサウンド・エフェクトが随所で効果的に差し込まれているのも特徴的だ。“Molotov Cop”の冒頭における話し声のサンプリング、デジタル・シンセ風のサウンドを主軸にした“Vulture Swarm”などは、セルフ・プロデュースだからこそ挑戦できたスタジオ・ワークの賜物だろう。本作は、『シャドウ』以降に自覚的になったプロダクション面での挑戦によって、彼ら最大の魅力である高い演奏力を増幅・拡張させた、全キャリア中でも一二を争う完成度を誇る1枚だ。

バーリー・カドガンは、『デス・エクスプレス』について「今、バンドにはパフォーマンスの要素が色濃く出ていると思う。」とコメントしている。バンドとしての実力と3人の結束がこれまで以上に高まっている事実は、同作を聴けばすぐに理解できるに違いない。ロックンロールの何たるかを知りたい/体感したいのなら、本作を引っ提げて2月26日(日)に行われるライブは絶対に見逃せないだろう。

【2017年2月開催】Hostess Club Weekender出演、リトル・バーリー【コメント動画】

EVENT INFORMATION

Hostess Club Weekender

英国ロックの正統なる継承者リトル・バーリー、ロックンロールを貫いた18年の軌跡を辿る music_ittlebarrie_2-700x1041
2017.02.25(土)、26(日)
OPEN 12:30/START 13:30
新木場スタジオコースト
<1日券> 8,500円(別途1ドリンク)
<2日通し券> 13,900円(各日別途1ドリンク)
25日(土):Pixies、MONO、Girl Band、Pumarosa
26日(日):The Kills、Little Barrie、The Lemon Twigs、Communions
詳細はこちら

RELEASE INFORMATION

デス・エクスプレス

英国ロックの正統なる継承者リトル・バーリー、ロックンロールを貫いた18年の軌跡を辿る music_littlebarrie_1-700x700
2017.2.15(水)
リトル・バーリー
¥2,400(+tax)
※日本先行発売、ボーナストラック1曲、歌詞対訳(矢岸礼子)、ライナーノーツ(粉川しの)付
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タワーレコードHMViTunes
詳細はこちら

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