今回は7月初旬に通算9作目となる最新アルバム『ダブル』をリリースしたばかりの3人組ポップス/ロック・バンド、空気公団の登場です。

まるで日常の風景や曲の中に暮らす様々な人々の感情をすくいあげる山崎さんのヴォーカルと、それに寄り添う戸川さん、窪田さんの演奏――。それらが豊かなストーリーを紡いでいく空気公団の楽曲は、音楽というよりもむしろ映画的。そこに描かれる普遍的な日本の風景は、人によって様々な映画や景色のようなものを連想させるはずです。

では、果たして音楽的にはどうなのか? 今回は普段制作中に音楽の影響源を一切持ち寄らないという3人に、「最新作に影響を与えたかもしれない楽曲」を3曲ずつ選んでもらうことで、新しい挑戦が詰まった『ダブル』制作の舞台裏を音楽面から紐解いてもらいました。

Interview:空気公団

【インタビュー】空気公団の最新作に影響を与えたかもしれない楽曲プレイリスト music160722_kukikodan_2

――今回の新作『ダブル』の制作は、そもそもどんな風にはじまったものだったのですか?

山崎 いつも私がタイトルを決めて、「こんなアルバムにしたい」ということを漠然と伝えるんですが、今回は「私が8曲作るので、1曲ずつお願いね」という話をしましたね。

戸川 最初に、「『ダブル』というコンセプトがある」という話がゆかりさんからありまして。

山崎 街の写真屋さんに飾られている写真の中に外国人の方が鏡越しにカメラ目線で写っているものがあって、本人の後ろ姿とカメラ目線の顔が両方写っていたんです。それを見て、「『ダブル』っていいかもしれない」と漠然と思ったのがきっかけでした。

――なるほど。そのアイディアが今回のアーティスト写真にも反映されているんですね。

山崎 そうなんです。人の中に「2つある」という感じ。「表と裏」とか、「感情の隣り合っているもの」とか、そういうものを表現するのにいいテーマだと思ったんですよ。

――今回は中村一義さんも3曲目“つながっている”にヴォーカルを提供しています。これはどんなきっかけで実現したものだったんですか?

山崎 曲を作った時に中村さんに歌ってほしいと思って熱い思いをメールしたら、快くお引き受けしていただきました。「ここに何かほしいです」ということだけお伝えして、あとは好きに歌ってもらいましたね。中村さんが思いもよらぬフレーズを入れてくれました。

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