イギー・ポップ
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新作はホントに最終章?イギー・ポップの華麗なるコラボ遍歴にフォーカス

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イギー・ポップにとって通算17枚目となるニュー・アルバム、『ポスト・ポップ・ディプレッション』がリリースされた。自身が率いるザ・ストゥージズとしては2010年にロックの殿堂入り、鋼のような肉体美と過激なパフォーマンスから「パンクのゴッドファーザー」との異名をとるイギーだが、御年68歳にしてその表現力/歌声はますます研ぎ澄まされてきたように思える。

クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ(QOTSA)/イーグルス・オブ・デス・メタルのジョシュ・ホーミをプロデューサーに迎え、アークティック・モンキーズのマット・ヘルダース、ザ・デッド・ウェザー/QOTSAのディーン・フェルティタも参加したことで話題の今作。イギー本人は「これが最終章だ」とほのめかしているようだが、自腹を切ってまでレコーディングに臨んだとあって、御大の幅広い「コラボレーション」の歴史を総決算したアルバムとも位置づけられるだろう。

Iggy Pop – Post Pop Depression | ALBUM SAMPLER

というわけで今回は、50年近いキャリアを誇るイギー・ポップの華麗なるコラボ遍歴にフォーカス。その中でもハイライトと呼べるトピックス/コラボ曲を動画と共に紹介し、めまぐるしい音楽性の変化と「人たらし」なイギーの魅力をあぶり出しながら、『ポスト・ポップ・ディプレッション』が生まれた背景に迫ってみたいと思う。

イギーポップ

新作とデヴィッド・ボウイの関係

『ポスト・ポップ・ディプレッション』の制作にあたって、イギーは1977年にリリースした最初の2枚のソロ・アルバム『イディオット』と『ラスト・フォー・ライフ』のレコーディング中に残したメモをジョシュに手渡していたという。言うまでもなく、この2作品は今年1月に亡くなったデヴィッド・ボウイがプロデュースしたもので、今なおイギーの代表作として真っ先に挙げられる名盤。1974年のストゥージズ解散後、ドラッグに溺れていたイギーを救ったのは他でもないボウイだったという。

「デヴィッドは僕を生き返らせてくれたんだ。普通に考えられている友情の形とは少し違って、彼は僕の保護者のような存在だった。自分のことを少し脇に置いて、僕に良い報いを与えてくれたんだよ」(NME JAPANより引用)

そうイギーが述懐するように、ほぼ同世代である彼とボウイは良き友人であり、お互い切磋琢磨し合う最高のコラボレーターだった。当時ベルリンで共同生活を送っていたことは良く知られているが、ボウイもまたブライアン・イーノとタッグを組んだ「ベルリン三部作」によって先鋭的な音楽性へと変革していくタイミング。クラフトワークやノイ、カンといったクラウトロックに魅せられていたボウイの趣向を反映してか、シンセサイザーやリズム・マシーンを大胆に取り入れた『イディオット』は、イギーの「ヴォーカリスト」としての存在感/ポテンシャルをまざまざと見せつける格好となった。ジョイ・ディヴィジョンのイアン・カーティスが生前最後に聴いていたレコードとしても知られ、ジェームス・マーフィー(LCDサウンドシステム)がフェイバリットに挙げていることからも、その衝撃度が窺えるはず。

iggy pop & david bowie – fun time 1977

↑ 『イディオット』収録曲“Funtime”のTVパフォーマンスでは、ボウイがキーボードを担当。いっぽう、イギーもボウイの1977年作『ロウ』でバック・ヴォーカルを務めている

Nightclubbing Grace Jones

↑ アンディ・ウォーホルのミューズだったことでも有名なシンガー/モデル/女優のグレイス・ジョーンズによる、“Nightclubbing”のカヴァー

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Kohei UENO

ライター

Qeticの準スターティングメンバーとも噂されるライター。週末はライヴハウスよりも映画館にいることが多いかも。グランジとヒップホップと女性SSWと麻婆豆腐が大好物。

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