動休止およびメンバーそれぞれのソロ活動を経て、13年4月、5作目のアルバム『セイヴ・ロックンロール –FOBのロックンロール宣言!』をひっさげ、フォール・アウト・ボーイ(以下、FOB)はロック・シーンに戻ってきた。前作から4年4ヶ月ぶりのリリースとなった『セイヴ・ロックロール』は彼らにとって2作目となる全米No.1ヒットを記録。ここ日本でもリリース直前に行った恵比寿リキッドルーム公演はチケットが即完。<サマーソニック>出演を経て、14年2月、ワールド・ツアーの一環として実現したジャパン・ツアーも全4公演すべてがソールドアウトになった。

FOBは不動の人気を改めてアピールしたわけだが、その彼らが今月21日(水)、『セイヴ・ロックンロール』からわずか1年9ヶ月というインターバルでニュー・アルバム『アメリカン・ビューティー/アメリカン・サイコ』をリリースする。『セイヴ・ロックンロール』リリース後、メンバー曰く「オーストラリアの小さなクラブからイギリスの超大規模なフェスティバルまで」世界中をツアーしつづけていたことを考えれば、いつどこにアルバムを作る時間があったんだ?! と驚かずにはいられないが、裏を返せば、FOBは絶好調ということだ。

『アメリカン・ビューティー/アメリカン・サイコ』と意味深なタイトルが付けられた最新作もまた、これまで同様、世界各国で大歓迎されるにちがいない。ここ日本ではいまだに、パンク・ロックのファンを中心に10代の少年少女達がライヴで大暴れする音楽と思われている節もあるFOBだが、実は縦・横もっと幅広いリスナーから受け入れられる魅力を持ったバンドであることを、新作がリリースされるこのタイミングで改めて語ってみたい。

目次:
1. FOBまとめ
– ポップ・パンク/エモ・シーン期待のバンドとしてデビュー
– キャッチーなメロディーとソウルフルな歌声を武器にブレイク
– ジェイ-Zをはじめ、さまざまなアーティストとコラボレーション
– ミュージック・ビデオから窺えるシニカルな現実および自己認識
– 新作『アメリカン・ビューティー/アメリカン・サイコ』から窺えるバンドの絆

2. 英語動画サイト「Listn.me」の解釈は? FOBの意味深な歌詞

◼︎ポップ・パンク/エモ・シーン期待のバンドとしてデビュー

【特集】ジェイ-Zにコステロ、ファレルも! 多くのミュージシャンにも愛されるフォール・アウト・ボーイの魅力とは? music150115_falloutboy_main

FOBの結成は01年。イリノイ州シカゴ郊外のウィルメットで元々はハードコア・バンドをやっていたピート・ウェンツ(B)とジョー・トローマン(G)がポップ・パンクを演奏するため始めたサイド・プロジェクトだった。ドラマーとして加入したパトリック・スタンプ(Vo/G/P)が声域の広さを買われ、ヴォーカリストに転向。そして、幾度かのメンバー・チェンジ後、ドラマーにアンディー・ハーレーを迎え、現在のラインナップが揃ったFOBは03年、フロリダのインディ・レーベル、〈フュエルド・バイ・ラーメン〉から『テイク・ディス・トゥ・ユア・グレイヴ』で本格デビューを飾ったのだった。同アルバム収録の“デッド・オン・アライヴァル”やハードコア時代の名残とも言える激情スクリームをフィーチュアした“サタデイ”のミュージック・ビデオを見れば、彼らがどんなシーンからやってきたバンドなのかがわかってもらえると思う。

Fall Out Boy -“Dead On Arrival”

Fall Out Boy -“Saturday”

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