ム・スミスの予想を超える快進撃をはじめ、我らがベックやエイフェックス・ツインの受賞にも狂喜乱舞だった<第57回グラミー賞>が幕を閉じましたが、イギリスでもっとも権威ある音楽賞のひとつ<ブリット・アワード(Brit Awards)>の存在も忘れてはなりません。

「UK版グラミー賞」とも称されることの多い<ブリット・アワード>は、1972年に初開催、1982年以降は毎年恒例となっており、BPI(英国レコード産業協会)の後援のもと今日まで行われてきました。35回目の節目を迎える今年の授賞式は2月25日(現地時間)、ロンドン・O2アリーナで開催され、大盛況のうちにクロージング。そこで今回は、なぜ<ブリット・アワード>が洋楽ファンにとって無視できないイベントなのか、2015年はどんなアーティスト/グループが受賞に輝いたのかを、Qetic的ハイライトも交えてご紹介します!

流行発信地=イギリスの「いま」がわかる賞

ウィリアム王子が絶賛来日中ですが、「イギリス」と聞いてアナタは何を思い浮かべるでしょうか? ビートルズ、ビッグ・ベン、2階建てバス、コールドプレイ、フィッシュ&チップス、ヴィヴィアン・ウエストウッド、オアシス、ロンドンブーツ……etc。

しれっと3回もバンド名を入れてしまいましたが、ブレイクが期待される新人を予想するBBC(英国放送協会)の「Sound Of…」は言わずもがな、<グラミー賞>においてもアデルやエイミー・ワインハウス、そしてサム・スミスといった実力派シンガーたちを数多く輩出してきたイギリスは、まさにポップ・ミュージックの流行発信地。「いま」もっとも旬なアーティストたちが集結し、豪華なライヴ・パフォーマンスまで披露する<ブリット・アワード>が、洋楽ファンにとって無視できないビッグ・イベントであることは疑いようがないワケです。

シンプル・イズ・ベストなノミネーション方式

<グラミー賞>はポップス、ロック、R&B、カントリー、ジャズ、レゲエ、ダンス、さらにはクラシックやミュージカルといった全81もの部門数(最大時は109部門も!)におよびますが、<ブリット・アワード>の部門数はわずか12部門。大まかな判断基準も「British(イギリスの音楽)」と「International(イギリス以外の音楽)」という2種類のみで、そんなシンプルさも国内外のライトな音楽ファンを惹きつける理由なのではないでしょうか。

【ブリット・アワード】今さら聞けない“BRITsいろは”&2015ハイライト紹介 music150227_trophy_1

2015年度のトロフィー/Trophy styled by Tracey Emin

SNSとの親和性を見出し、ファンやリスナーの声をダイレクトに反映!

全米レコーディング芸術科学アカデミーの会員たちの投票によって決まる<グラミー賞>が「プロ視点」の賞であることに対して、<ブリット・アワード>はファンやリスナーの声がダイレクトに反映される賞でもあります。昨年から新たな試みとして、ファンがTwitterから好きな音楽ビデオに投票できるアワード「BRITs Social Vote for British Video(最優秀ブリティッシュ・ビデオ賞)」がスタートし、ワン・ダイレクションの“Best Song Ever”が初受賞。

他の部門とは違って授賞式当日の夜20時にノミネーションが発表され、90分以内にもっとも多くのツイート数を記録したミュージック・ビデオが受賞するのですが、1Dはなんと200万ツイートを集めてぶっちぎりの1位。アワード中継全体では400万ツイートを超え、これは英テレビ番組史上最高の記録だったそうです。<ブリット・アワード>にノミネートされるアーティストの大半はTwitterアカウントを持っていることもあり、その速報性とオープンなスタンスは生中継との相性抜群(YouTubeではストリーミング中継も行われました)。いち早く授賞式とSNSの親和性を見出した<ブリット・アワード>が、国内外の音楽アワードに与えた影響は計り知れません。

1Dは“You & I”で2年連続の「ブリティッシュ・アーティスト最優秀ビデオ賞」を受賞!

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