本日6月29日(水)から7月18日(月・祝)まで、日本科学未来館で開催されるVR展示会のため来日中のビョーク。開催前日の昨晩6月28日(火)に同館のシンボル展示「ジオ・コスモス」にて、世界初の試みとなった360度VRライブストリーミング・イベント<Making of Björk Digital-公開収録&トーク>を開催。本人が1曲生歌唱をし、プロジェクション・マッピングとAR/VRの最新技術を駆使した前代未聞のパフォーマンスを披露。その後日本初となるトークショーにも登壇し、今回のコラボレーションの経緯やVRに対する思いを語った。

Making of Björk Digital-公開収録&トーク
2016.06.28(火)@お台場・日本科学未来館

<Björk Digital-音楽のVR・18日間の実験>の開幕を翌日に控えた6月28日、東京・お台場の日本科学未来館で、同展のプレイベント<Making of Björk Digital-公開収録&トーク>が、来日中のビョーク自身を迎えて開催された。

このイベントは2部構成で、彼女はまず、360度カメラで撮影したヴァーチャル・リアリティ映像をリアルタイムでストリーミング配信するという、世界初の試みを敢行した。これは、最新作『ヴァルニキュラ』の全収録曲に対応するヴァーチャル・リアリティ映像のビデオクリップを、世界各地で様々なクリエイターと制作するという壮大な企画の一環で、日本でビョークが白羽の矢を立てた曲は、アルバムのラストを飾る「クイックサンド」。同館3階のジオ・ステージに設けた会場に、MITメディアラボのネリ・オックスマン教授制作により特別にデザインされたヘッドピースと白いドレスを身に付けて登場したビョークは、ビートにシンクロして様々なパターンを映し出すジオ・コスモス(有機ELパネルを使った地球ディスプレイ)を背景に、「クイックサンド」を披露。日本で『ヴァルニキュラ』の収録曲をナマで歌うのは今回が初めてで、現場で見守っていたファンにとってはひとつのライヴ・パフォーマンスなのだが、ストリーミング配信されるにあたってAR/VR演出が加えられ、動画サイトで見ていた世界中の人々の目には、全く異なるマジカルな映像が発信されていたというわけだ。

ビョーク、360度VRライブストリーミングにて前代未聞パフォーマンス!超貴重なトーク! art160629_bjork_4

そして休憩を挿んで、第2部はピンクを基調にした衣装に着替えての、トークショー。日本科学未来館のキュレーターである内田まほろ氏の司会のもと、今回のプロジェクトに関わった3人の日本のトップ・クリエイターたち――Dentsu Lab Tokyoの菅野薫氏、Rhizomatiks Researchの真鍋大度氏、P.I.C.S. managementのTAKCOM氏――を交えて、1時間にわたってトークを繰り広げ、昨年3月に始まったというコラボレーションのプロセスを振り返った。当初Dentsu Lab Tokyoから360度ストリーミング配信の提案を受けたというビョークは、「クイックサンド」について、曲が湛える切迫感やストロボのようなリズムが、ストリーミングという方式に合致していると感じて選んだこと、母と娘の関係が題材とあって、ジオ・コスモスを“母”に見立てたことなどを饒舌に説明。また、ヴィジュアル表現やテクノロジーに関する自身のスタンスにも触れ、最新テクノロジーを取り入れることに積極的ではあるものの「ミュージシャンとしての私の役割はヒューマニティやソウルと向き合うことであり、表現したい感情に相応しいツールを選んでいるだけ」と強調。最後は強い関心を抱いている環境問題に言及し、「地球を救うのはまだ手遅れではなく、クリエイティヴィティとテクノロジーは、今の流れを変える手助けができると思う」と、ポジティヴな言葉でトークを括った。

ビョーク、360度VRライブストリーミングにて前代未聞パフォーマンス!超貴重なトーク! art160629_bjork_3

ちなみに4人は今後、ここで撮影されたパフォーマンス映像にじっくり手を加えて、ストリーミング・ヴァージョンを進化させた「クイックサンド」のVRビデオを完成させる予定だ。「そこには曲のエモーショナルなメッセージをより正確に反映させたい」と話していたビョーク、さらなる驚きを用意してくれているに違いない。

ビョーク、360度VRライブストリーミングにて前代未聞パフォーマンス!超貴重なトーク! art160629_bjork_2

ビョークの最新VR展示会<Björk Digital ― 音楽のVR・18日間の実験>は本日より開催。ライヴ・アルバム『ヴァルニキュラ:ライヴ』は7月13日に日本先行発売される。

EVENT INFORMATION

Björk Digital ― 音楽のVR・18日間の実験

2016.06.29(水)- 07.18(月・祝)
※ただし金土日祝(7月1日(金)〜3日(日)、8日(金)〜10日(日)、15日(金)〜18日(月・祝))は午後10時まで開催
OPEN 10:00/CLOSE 17:00
日本科学未来館 7階 イノベーションホールほか(東京都江東区青海2-3-6)
料金:¥2,500(税込)
***出演者***

※休館日:2016年7月5日(火)、12日(火)
※入場日時指定制、整理番号付
※チケット:チケットぴあにて発売中
※前売り券の販売はチケットぴあのみとなります。
※展示の中心となるVRコンテンツは13歳以上が対象です
※未就学児の入場はできません
※小学生以上は入場券が必要となります
※企画展、常設展、ドームシアター(いずれも午後5時まで)の鑑賞には別途料金がかかります
※アーティストの出演はありません
主催:スマッシュコーポレーション
共催:日本科学未来館

詳細はこちら

RELEASE INFORMATION

[amazonjs asin=”B01GEWJ800″ locale=”JP” title=”ヴァルニキュラ:ライヴ”]

ソニー・ミュージックによるオフィシャル・サイト
海外オフィシャルサイト
Dentsu Lab Tokyo

text by 新谷洋子
photo by Santiago Felipe