中学卒業を機に地元福岡を離れ、「歌を歌いたい」と単身大阪に渡り、シンガーソングライターとして活動する植田真梨恵さんと人と街の温かさが溢れる日暮里の街をおさんぽ。

植田さんはインディー活動の約8年の間にコンスタントに作品を発表し、同時にライブ活動も積極的に行い、ワンマンライブでは次々とソールドアウトさせるなど、インディーズ時代より実績を残してきた実力派のアーティスト。2014年にシングル、『彼に守ってほしい10のこと』でメジャーデビューし、同作品は全国32局でパワープレイを獲得。ワンマンツアーも早々にソールドアウトを記録し、<COUNTDOWN JAPAN>などのフェスにも出演。その後もメジャーでの活動約一年で、シングル3枚、アルバム1枚をリリース。2016年1月20日には、4枚目のシングルとなる『スペクタクル』をリリースしたばかり。

今回は自然体で、お散歩をしながら、新作、『スペクタクル』の制作背景や込められた想い。同シングルの収録曲の制作秘話。また、彼女独自の世界観溢れる楽曲の生み出し方。インディー時代よりツアーを含め、年間約50本のフェスやツアーの中で、さまざまな形態でライブを行う理由など、気になることを聞いてみました。

Interview:植田真梨恵

――植田さんは中学を卒業してすぐに福岡から単身大阪へ。その後すぐ音楽活動を始めて、約8年インディシーンでコンスタントに作品をリリースしてきましたが、楽曲制作はいつ頃から始めたのでしょうか。

初めて曲を作ったのは高校1年生の頃ですね。一人暮らしをはじめてから、しばらくして時間に少し余裕が出てきた頃に、大阪に出てきた当時から、現在までずっとお世話になっているマネージャーさんのすすめもあって、“夜風”(INDIE 1st Mini AL『退屈なコッペリア』収録)という曲を完成させました。

――2014年のメジャーデビュー後も、約一年の間に、シングル3枚、フルアルバム1枚と、コンスタントに作品をリリースしてきましたが、楽曲制作をはじめたインディー時代から現在まで、すべての詞と曲を自身で手掛けていますよね。生活の中で感じそうなことでありながら幻想的。現実と想像が入り混じるような歌詞。そこに響くような音の作り方。この植田真梨恵、独自の世界観を感じさせる楽曲のイマジネーションはどこから生まれてくるものなのでしょうか。

日常の中で感じることがあれば、書き留めておいたり、日頃からペンで日記をつけたりしているので、そこから特に意識はしないで書き広げていったりもします。もともと日本語が持っている、「なめらかさ」や「おもしろさ」が好きで。言葉としての単語の響き方がいいなと感じる言葉から広げていったりします。感覚的なものですが、例えば「虫歯」とか「たまご」という言葉は単語として可愛いので、「好きだなぁ。」と思うことがあります。今回リリースした、“スペクタクル”は、口に出してみたい言葉だ! と思っていて、そこに「スペクタクル」という単語自体が持っている要素や意味を組み合わせてみたんです。そういう風に、言葉を紡いでいくこと自体が好きなんですよね。他にも映画が好きなので、約2時間の中で物語が展開されていく映画にインスパイアされ、たった5分という限られた時間で、どれだけ素敵な音楽を作れるかなと考えてみたり。そういうチャレンジをするのも好きですね。私独自の世界観というものは特には無いと思っているんです。ただ、私が心の中に抱えているものを、音楽というひとつの形にしているつもりでいます。

――植田さんはインディーから現在まで、全国各所をツアーやライブで駆け巡っていますが、バンド形式のみならず、アコースティック、ギター&ピアノなど、さまざま編成でツアーやライブを展開していますね。それぞれの編成を分ける理由やこだわりとはなんでしょうか。

どの演奏形式に対しても、まずわたし自身がそれぞれの編成が好きなんです。バンドであれば、楽曲そのままの形を生でみなさんに届けられるし、ピアノと2人編成だと、より曲に緩急が生まれたり、呼吸が揃うことで生まれるグルーブ感もいいなと思います。弾き語りは弾き語りで、大切に歌っていきたいなと思うんです。それから、どの編成でも変わらずに言葉の持つパワーを信じて、お客さんの目を見て歌いたいなと思っています。例えば、同じ編成のライブでも、お客さんが変われば、同じライブはひとつもない。そう思えるくらい毎回違う感覚でライブをしているんですよね。

次ページ:最新シングル『スペクタクル』制作のきっかけとは?