——次にジェシカさんに聞きたいのですが、日本との関わりについて教えてもらえますか?

ジェシカ・スチュアート(以下:ジェシカ) 私の両親は父が人類学者、母が琴と三味線の奏者で、私と姉が生まれる4年ほど前に大阪に住んでいました。私も子どもの頃に家族で長野県に住んでいたことがありますし、日本との接点があるんです。以前、両親はバンクーバーで教師をやっていたんですが、旅行好きだから1年間違う生活をしたかったらしく、それで私が9歳のときに、1年間だけ日本に住むことになったんです。日本で両親は、大学と高校で英語の講師として働いていました。

——今のお話にありましたが、お母様が琴の奏者ということで、小さい頃から琴を習っていたそうですね。

ジェシカ 最初は日本にいた頃に母の先生に習って、その後は母に教えてもらいました。どうして始めたいと思ったのかはまったく覚えていませんが、琴のレッスンは楽しかったです。母は世界の伝統的な音楽を研究していて、実際に現地で音を採取しては楽器に起こして、本を出版することもやっていました。

The Jessica Stuart Few “Winter Warm”

——ご自身の音楽表現に琴を取り入れようと考えたのはなぜですか?

ジェシカ 私はコンポーザーとして、自分の音楽にどうやって琴を取り入れて、いい楽曲を作るかということに集中しているんですね。誤解されたくないのですが、私は色物っぽく琴を演奏しているわけではないので、そのサウンドが好きなんです。カナダ人が琴を弾くということではなくて、ただ自分の音楽として勝負したい。琴との繋がりが人生の上であったという流れでやっているから、話題作りのために日本の楽器を選んでいるわけではないんです。

——琴にはギターのような響きがあると思っていて。ザ・ジェシカ・スチュアート・フューの『トゥー・サイド・トゥ・エブリ・ストーリー』を聴いていると、いい意味でギターか琴の音なのか分からない箇所があるんですね。なので、違和感なくはまっているというか、ジェシカさんは自分の音楽にどうやって琴をフィットさせるのかを考え抜いている方なんだなという印象を受けました。

ジェシカ 嬉しい、どうもありがとう!

【インタビュー】琴を操るSSW・ジェシカ・スチュアート × Creators’ Lounge主宰者・加藤豊紀から見る日本とカナダの文化交流とは? interview131010_jessica-stuart_0094

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