2014年も残すところわずか。Qeticでも様々なメディアが選ぶ今年のアルバム年間ベストをまとめたが、最後の最後でとある新人バンドから、ランキングに待ったをかけるようなアルバムが飛び出してしまった! デビュー作ながら全曲キラーチューンと言っても過言ではない密度の高さに、ベテラン勢にも決して引けを取らない完成度。ひねくれながらもキャッチーなメロディーと疾走感に乗せられて、気付いた時には2周目の再生ボタンに手を伸ばしているはず……。さて一体どんなアーティストなんだと気になったところで、まずは音を聴いてもらいたい。

Superfood -“Mood Bomb”

どこか懐かしいような、90年代のオルタナやブリット・ポップからの影響を感じさせる期待の新星、その名も「Superfood(スーパーフード)」。2012年に結成したスーパーフードは、ドム・ギャンダートン(Vo&G)、ライアン・マルコム(Gt&Vo)、エミリー・ベイカー(B)、カール・グリフィン(D)から成る、イギリス・バーミンガム出身の4ピースロックバンド。ザ・テンパー・トラップ、アルト・ジェイ、ジーズ・ニュー・ピューリタンズを擁する名門英レーベル〈Infectious〉と契約し、今年の春に『MAM EP』を発表した。

Superfood -“TV”

このEPたった1枚で彼らは多くの人々の心を打ち抜き、急速な勢いで知名度を上げたのだった。そんな中、彼らと同郷の人気バンド、ピースのフロントマン・ハリーが「バンド惚れした!」と大絶賛しUKツアーの前座に抜擢。その他にもウィー・アー・サイエンティスツやウルフ・アリス等ともステージを共にするなど、勢いの止まらないスーパーフード。

そして今回、デビューアルバムにして高い完成度を誇る『ドント・セイ・ザット』をリリースしたばかりの彼らからインタビューが到着! バンドのフロントマン・ドムがスーパーフード結成の経緯から楽曲制作について、さらには「キャット・カフェ」(猫カフェ)へ行きたいという日本への思いまでたっぷり語った。

メディアや評論家は、アーティストのサウンドをなにかと繋げて比較したがる傾向にあるが、それは安易だとドムは言う。一言でブリット・ポップやUKインディなどと片付けられない魅力が、スーパーフードにはある。

(text by Qetic・Akane Ishida)

Interview:Superfood[ドム・ギャンダートン(Vo&G)]

––––とてもユニークな顔ぶれのように思いますが、バンド結成の経緯を教えてください。

僕とライアンは元々友達の友達で、数年来の友だったんだ。2人とも音楽をやっていたけど、ちょうどその頃はバンドをやっていなくて、周りの友達からも何度も「2人で一緒にやったらいいのに」って言われていた。僕ら自身も会う度に一緒にレコーディングをしようって言い続けながらも1年以上も何もしていなかったんだけど、ある時ついに腰をあげてデモを一緒に録って、そのセッションでとりあえず曲名を“Superfood”ってつけたんだ。その後じゃあバンドを始めようってことになって、時々ハウスパーティーとかでギターを弾いたり歌っていたエミリーに声をかけた。ベースを持たせて「これを弾いてみて」って言ったんだ。彼女はすごい早さでベースの弾き方を覚えたよ。ドラマーは2人くらい試してみたんだけど、その後、2012年のクリスマス直前くらいにカールを見つけた。その頃彼は他のバーミンガムのバンドをやっていて、色んなバンドとライヴをやっている中で出会ったんだよ。それで僕ら全員が揃ったのさ。この間のハロウィーンに僕らの初めてのちゃんとしたヘッドライン・ショウをバーミンガムでやったんだけど、それがちょうど僕らが4人で初めてやったショウから2年後だったんだ。最初のショウから2年で、満員の600人の観客の前でプレイしてみて、どれほど短い期間で物事が動いているか実感したよ。

––––4人は過去にそれぞれ別のバンドに在籍していましたが、スーパーフードがそれらのバンドと違う面はなんでしょうか。

なんていうか、今やらなきゃ一生やれないっていうような、新しく生まれた決意があったんだ。僕らはそれまでもずっと音楽をやってきて、自分のベッドルームでレコーディングをしたりしてきたけど、今がちょうどすごく良い機会に恵まれているんだ—僕らの周りでもピースとかウルフ・アリスとかのバンドが成功したりと色々なことが起きている、成長中のシーンの中にいることができて、自分達もその中で負けずに人々に興味を持ち続けてもらえるよう必死で努力したよ。

––––ここまでの成功を手に入れることができた秘訣とは?

何だろうな? まだそんなにものすごく成功しているって訳じゃないけど、はじめの頃一緒にツアーしたバンドや友達のバンドはどれもすごくライヴが良かったから、僕らも最初からただステージに上がって出来るだけ上手く演奏するっていうだけじゃなくて、自分達ができる一番良い演奏をしつつ、しっかりパフォーマンスもやるっていう強い決意があったんだ。ただサポートバンドをやるだけじゃなくて、観た人たちが帰ったあとにも話題にするように、観客の心を掴むっていうはっきりした目標を持っていたよ。

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