2012年にはQetic主催のライヴイベント<Qeticダヨ! 渋谷と口髭とトモダチ。streaming by 2.5D>に出演したり、先はボーカル武瑠のソロプロジェクト「浮気者」の興味深いインタビューがアップされたりと、このQeticにも何度か登場してきたSuG。それまで、「ヴィジュアル系バンド」と彼らを敬遠していたユーザーも、これらを機に彼らの音楽性に触れ、そのフレキシブルさと変幻性、そして、現行ロックの中でも先端に位置する音楽性に改めて気づかされたにちがいない。そう、彼らの音楽性は、その一般的に「ヴィジュアル系」とカテゴライズされるジャンルやイメージとは一線を画したもの。各曲バラエティに富んでおり、柔軟に様々な音楽性を採り入れては、それをポップに昇華したものばかりだ。

加え、先の「浮気者」では、平成生まれの新進エレクトロニック・ダンス・ミュージック・クリエーターTeddyLoidとのコラボレーションも実現。楽曲“HELLYEAH”に於いてiTunesのエレクトロチャートの1位を獲得するなど、圧倒的な実力と説得力、センスを持ち合わせてもいる。

そんな彼らが昨年末の活動休止からの復活劇から10カ月。復活後3枚目のシングル『CRY OUT』をリリースした。アレンジャーにPlus-Tech Squeeze Boxのハヤシベトモノリを迎え制作された今作は、まだSuGに触れたことのない方に、まずは聴いてもらいたい1曲。彼らが従来持っていたヘヴィーさやポップさ、キラキラとした面や男っぷしを感じさせる要素が、ライヴバンド然とした形で収められた、現行の彼らを見事に捉えた楽曲に仕上がっている。自身称する「SuG流パンク」が詰まったという、新しい代表曲となるべく同楽曲を中心に、ボーカルの武瑠、ギターのyuji、ベースのChiyuの3人が熱っぽく作品や近況を語ってくれた。

SuG – “CRY OUT”

Interview:SuG[武瑠(Vo.)、yuji(G)、Chiyu(B)]

休んでいたどころか逆に忙しかった、
次の動きや準備に余念が無かった活動期間中

––––まずは昨年末の復活までの活動休止の期間についてお伺いします。今思うと、あの1年は復活の為の準備期間だったようにも映るのですが。

武瑠 ですね。休止とは言え、ちょっとプチ短期留学をしたぐらいで、そんなに休んではいなかったですから。表舞台に出てはいなかったものの、復活してからの作戦を練ったり、曲を作ったりしてましたよ。休むどころかけっこうせわしなく動いてた(笑)。「浮気者」の方も昨年の秋には始動していたんで。それこそ次の動きやソロ活動に奔走していた1年でしたね。

yuji 逆に僕は作曲ぐらいしかしてなかったなぁ。あっ、ホラー映画をよく観ました(笑)。

––––それはかなり楽曲制作への感受がありそうな(笑)。

yuji ないない(笑)。好きで観ていただけですよ。いや、無くもないかな……。

Chiyu 活動休止中は活動休止中で、メンバーと一緒にいる時間が減った分、個人で考える時間も増えましたよね。とは言え、ライヴの勘は損ないたくなかったんで、ソロでライヴをやってみたり、サポートをやったり、あえてSuGのメンバー以外の方と音を出したり、セッションしたりしてました。スキルを磨いた1年だったかも。

––––普段のメンバーとは違った方々と一緒に音を出されてみていかがでした?

Chiyu 全然違いましたね。特に「ドラムが違うとリズム隊として全然違うんだな……」と、改めて気づきました。新鮮だったし、勉強にもなったけど、逆にこのバンドに戻ってきた時の安堵感もあって。「そうだよ、これ、これ!!」って。あとはソロではベース&ボーカルだったんで、ボーカルのことも考えて動いたり、弾くことを意識するようになったし。復活後は本当の意味でベース(BASE)にならなくちゃいけないと思いましたね。

外見で興味の持ち方が変わることを
学んだところもあったソロプロジェクト

––––武瑠さんはソロプロジェクト「浮気者」をやられてましたよね。ここでは多岐に渡るアーティストとのコラボレーションを経験されたわけですが、そこから得たものを、この復活後に還元出来たりは?

武瑠 当然ありましたよ。元々自分で凝り固まりたくなかったところから始めたところもあったし。どうせならこれまでに無かった色々な要素やエッセンスもバンドに持ち帰りたかったし。凄く刺激になりましたからね、やっぱり。あと、SuGというバンドから飛び出して、そんなコラボを経たことでのリアクションや色々なイベントに誘われるようにもなったし。Qeticさんも含め、普段出れない媒体に出れるようになったり。見え方もちょっと変わってくれたかなと。ぶっちゃけその為にやったところもありましたから。

浮気者 – “HELLYEAH”

––––いわゆる従来のSuGというイメージや交遊範囲に、ソロをやることで更なる広がりを目指したと。

武瑠 ですね。ソロではもっとサブカル方面にも拡げたいところはありました。あくまでも実験でしたからね、浮気者は。

––––では、自分が、「この人とやりたい!」というよりは、むしろ、「この人一緒にやると……」といった具合に、その先を見据えてのコラボだったと。

武瑠 半々でした。元々SuGとは別のことをやろうと思っていたし。結果、広がりも吸収もできましたから。いや、広がりの方が大きかったかも。あと、バンドじゃない方が興味を持ってくれる人も多くいたのには驚きましたね。予想以上にヴィジュアル系バンドというレッテルが大きいことも痛感したし。イメージだけで敬遠していた人も、聴いてもらうと、「なかなかいいね」って言ってくれたり。だから、“HELL YEAH”では、あえて先入観ナシで、匿名性高くやってみたんです。同じ人間がやっていても、外見だけで興味の持ち方が変わることを学びました(笑)。

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