持ち前のポップ博覧会的な魅力を全開にして、ファレル、ケミカル・ブラザーズ、アリアナ・グランデ……と国内外から人気アクトが集結した今年の<サマーソニック>。中でもQeticが注目してきたのは、若手アクトが大挙したシンセ・ポップ・バンドの数々。だって目玉のパッション・ピットこそキャンセルになったものの、ウォーク・ザ・ムーンやチェラブに加えて、見方によってはマデオンもポーター・ロビンソンもゼッドもそうなのだから、今年の<サマソニ>、ほとんどシンセ・ポップ勢じゃないですか……。それは流石にEDM? そもそもソロだしバンドではない? いいんです。フェスは祭り。細かいことを気にするのは野暮ってもんですよ!

中でもソニック・ステージの1番手という時間帯ながら、多くの観衆が詰めかけたLAのスモールプールズは、デビュー作『ラヴタップ!』を引っさげての初来日。冒頭、突如ヴィヴァルディの“四季(春)”が流れると、指揮者のマネをしながらメンバーが登場。開始早々オーディエンスの心をグッと掴むと、以降はバルーンも投入しつつ、多彩な引き出しを駆使した80’sテイスト満載のキラキラなポップ・チューンで最後までぐいぐい突っ走る。

今回はそんな4人を、<サマソニ>直後に直撃! 生粋のポップ・マニアな彼らに、様々なアーティストを引用してもらいつつバンド結成秘話やアルバムのお気に入り曲、人気曲“Karaoke”にちなんだ彼らのレパートリーを語ってもらいました。さぁ、あなたもスモールプールズときらめくポップ・ワールドへ。まだの人も、きっと遅くはないはずです。

Smallpools – Dreaming

Interview:Smallpools
[Sean Scanlon(Vo/Key)、Michael Kamerman(G)、Joseph Intile(B)、Beau Kuther(Dr)]

――<サマーソニック>でのライブ、すごく盛り上がっていましたね。ヴィヴァルディの“四季(春)”だったと思うのですが、クラシックのSEで登場して、その後も最後までエネルギッシュで祝祭感に溢れたステージでした。

Vivaldi – The Four Seasons(Spring)

ショーン・スキャロン(以下、ショーン) その通り! SEにはヴィヴァルディを使ったんだ。

ジョー・インティル(以下、ジョー) 僕らはオープニングにサプライズを仕込むことがよくあるんだよ。ヴィヴァルディの曲なら、聴くだけでみんな気分が上がると思ったしね。

ショーン ショウ自体も素晴らしかったな。早い時間だったのにファンの人たちが沢山来てくれて、僕らの音楽を受け入れてくれて、すごく嬉しかったよ。

――パフォーマンスからは、「とにかくお客さんを楽しませよう」という気持ちが伝わってきました。これはスモールプールズにとって重要な要素だと思いますか?

ショーン もちろん。いつも考えてることなんだけど、世の中には「上手くプレイできるバンド」は沢山いるよね。だから、僕らはただプレイするだけじゃなくて、そこから一歩踏み込んで面白いことをやりたいって意識してる。そのアイディアがどこから出てくるかは自分たちでも分からないけど、僕ら自身が全力で楽しむのはもちろん、観客のみんなも常に高揚感を持ってライブ会場を出てくれるような、エネルギーをもらって帰ってくれるようなライブにしたいと思っているんだ。

マイケル・カマーマン(以下、マイク) たとえば、アメリカではMCで「この曲はこんな風に出来上がった」って曲のストーリーを紹介したりもしてる。僕らは日本語が堪能じゃないから、どうやったら日本でオーディエンスを沸かせられるかはまだちょっと把握できてないけど、日本のみんなにも気に入ってもらえて、僕らの音楽がより広がってくれればいいなと願ってるよ。

――このバンドは、それぞれ別のバンドで活動していたショーンとマイクがLAに渡って、そこでジョーとボーに出会って結成されています。そもそも、最初にメンバーが集まった時、それぞれのどんなところに惹かれて、どんな音楽を作ろうと思っていたんですか?

ショーン 何だろう……4人が集まった時、言葉では説明できないケミストリーのようなものを感じたんだ。僕らはそれぞれ出すアイディアも違うし、当初は目標にするサウンドみたいなものも全然なかったと思う。だからまずは自分たちがいいなと思える曲を作って3曲並べてみたんだけど、まるで違うバンドが作ったかのようにバラバラの音楽性だった。

――それぞれどんな風に違ったんですか?

ショーン 1つは、サーティー・セカンズ・トゥ・マーズみたいなドラマティックな曲で、トランペット・プレイヤーも参加した曲だったね。

30 Seconds To Mars –“ATTACK”

ジョー その曲、僕はいまだに思い出したりするんだ(笑)。

ショーン そして2つめは、すごくゆっくりな……スロウ・バラード。

マイク ああ、カントリーのテイストも入ってる曲だった。フォークとか、ブルージーな感じがあるものだったんだ。

ショーン そして3曲目が、(アルバムにも収録されている)“Over And Over”だね。コードもバースも違う別ヴァージョンだったんだけど、その時のオリジナル・バージョンも、いつかリリースするかもしれないな。

Smallpools – “Over & Over”

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