3月に新木場STUDIO COASTで開催された<Booked!>で、無名の新人ながらメインステージのアクトに抜擢。toe、mouse on the keys、ペトロールズ、ceroらと同じ舞台に立ったROTH BART BARON(ロット・バルト・バロン)は既に熱狂的な音楽ファンから支持を獲得している新世代の2人組バンドだ。

過去に自主リリースしてきた2枚のEPはdisk unionやJET SETなどのレコードショップで完売。2014年1月には、デビューアルバム『ロットバルトバロンの氷河期(ROTH BART BARON’S “The Ice Age”)』のフィラデルフィアでのレコーディングを兼ねたNYツアーを成功させ、国境を感じさせないアクティブな活動を展開している。

ROTH BART BARONは、ギターとドラム、歌とピアノを軸にしたシンプルな構成ながら、管楽器、グロッケンなど多彩な楽器を使って描く壮大なサウンドスケープはフリート・フォクシーズ、ボン・イヴェール、ベイルートなどを彷彿とさせる。ファンタジックな世界観のサウンドは海外とリンクしながらも、温かい日本語で綴られた言葉たちが違和感なくフィットした、実にオリジナリティに溢れたポップミュージックだ。

また、今作のミックスはザ・ナショナルなどを手掛けるジョナサン・ロウ、数曲のプロデュースと録音はカート・ヴァイル、ザ・ウォー・オン・ドラッグス、シャロン・ヴァン・エッテンなどのワークスで知られるブライアン・マクティアが担当している(※ナショナルが出演した<Hostess Club Weekender>には、ROTH BART BARONの2人も観客として来場していた)。彼らにとって理想ともいえる環境で完成された1stフルアルバムについて、メンバーの中原鉄也と三船雅也が語ってくれた。

ROTH BART BARON “ROTH BART BARON’S The Ice Age” (Official Album Trailer)

Interview:ROTH BART BARON

左から:三船雅也[Vocal/Guitar]、中原鉄也[Drums/Piano]

──中原さんと三船さんには、<Hostess Club Weekender>でQeticのファッションスナップに出てもらっているんですよね。

中原鉄也(以下、中原) 僕ら2人でよくライブに行くんですけれど、あの日はフルメンバーの5人で初めて行ったんですよね。

三船雅也(以下、三船) トリのナショナルは本当に音が違いました。さすがだなと思いましたし、他にもユース・ラグーンとかを観ていても、それぞれの良さがありましたね。「こうやって音を作っているのか」と気になってしまって、ライブが終わった後は機材とかを観てしまうんですよね。

──三船さんと中原さんはそもそもどんな繋がりなんですか。

中原 中学校の同級生ですね。同じテニス部で、引退するまでずっとペアを組んでいました。

──三船さんが後衛、中原さんが前衛?

三船 僕が前衛です。バンドでもポジションが変わってないっていう(笑)。都大会までしか出られなかったけど、かなり部活は頑張りましたね。

中原 家族ぐるみでも付き合いがありましたけど、卒業してからは別々の高校に進学していて。

三船 途中で僕が引っ越したんだよな。それから会わなくなって。

中原 そうだったね。

三船 20歳ぐらいのときに偶然再会して、「鉄也、バンドやっているの?」「俺、宅録やっているんだけど」みたいな感じで話が合ったんです。そこからまた一緒に遊ぶようになって、「バンド組もうぜ」という感じではなくて、家で遊んでいる延長上で、気付けばバンドを組んでいたというか。「ライブハウスに電話をするとライブが出来るらしい」とか、そういうところから手探りで始めて。

ROTH BART BARON – “小さな巨人”

──もともとやっていた音楽はどんなものだったんですか。

中原 僕は部活を辞めるくらいの時期に、同じ部活仲間とTHE BLUE HEARTSとか、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTとか、ハードロックのコピーバンドから始まりましたね。

三船 僕はバンドをやったことがなくて、家でずっとラップトップに宅録をしていました。知り合いにコンピューターで音楽を作るビートルズ好きのおじさんがいて、その人に教えてもらっている中で多重録音の楽しさに気付いたんです。友達がいなかったので、スタジオにも入ったことがなかったですし、ひたすら家で作り続けていましたね。一緒にやるようになってからは、同級生の暇な友達が集まって、トリプルギターの5人バンドを始めたんです。トリプルギターでみんな始めたばかりだったから、一斉に同じコードを弾くっていう音圧だけがヤバいバンドでしたね(笑)。最初は僕が好きだったニュー・オーダーの“Ceremony”という曲をやったんですけど、みんな全然出来なくて(笑)。

中原 あれはひどかった(笑)。楽しかったけどね。

三船 しばらくすると自然淘汰というか、興味がなくなって辞めていく友達が出てきて。そこからライブに出るとなって、バンド名が必要だから付けて活動を始めたという感じですね。だから、いわゆる「結成」みたいな感覚がないんですよ。

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