今もっとも気になるあの人はどんなテーマで、どんな曲を選ぶのか。mysoundが注目するアーティストがプレイリストを作成、それぞれの曲について解説してもらうというこの大好評企画。今回は9月21日に3年半ぶりの2ndアルバム『Absence』をリリースして話題を呼んでいるPredawnに登場していただきました。今回のテーマは『私がカバーしたことのある曲』。1曲1曲を紐解くことで彼女のルーツが垣間見えてくる、そんなエピソードも満載です。柔らかくも芯の強い包容力のある歌声、ドリーミーでありながらもシャープに覚醒したサウンド、どこかシニカルで、けれど救いを秘めたPredawnの世界をより深く知るきっかけにもなるかもしれません。『Absence』にも、プレイリストの楽曲たちにもぜひ触れてみてください。

Interview:Predawn

【インタビュー】Predawnがカバーしたことのある楽曲プレイリスト In161215_predawn_2-700x467

“そこに何かがあるから切実にやってるのかなって思います“

——まずは2ndアルバム『Absence』について。3年半ぶりのリリースとなると、やはりご自身も久しぶりな感覚ではなかったですか。

そうですね。でも特にすごく休んでたというわけではなくて、曲を作ったりライブをしたりしている間に、気づいたらそれぐらい経ってたっていう(笑)。たぶん2年前くらいには“アルバム作れるな”って思ってたんですよ。ただ、その間にも曲が増えたり、あと、自宅でレコーディングしてるので機材を集めたりとか環境を整えるのに時間をかけたりとか。

——今回もすべての作業をおひとりで?

ドラムとベースは全てレコーディングもエンジニアさんに録ってもらったんです。最終ミックスは前からその方に頼んでいるんですけど、リズム隊の音を録るためにはスタジオも機材も自宅では難しいので。

——リズム隊を入れるのは今回初ですよね。

はい、ひとつ前に進んだかなって思います。閉じていた扉がちょっと開いたというか(笑)。今回はいつものライブメンバーがやってくれてるんですけど、一緒にライブを重ねるにつれ、慣れてきたところもあるし、バンドのどっしりした感じがほしい曲もいっぱいあったんですよ。そのときそのときに必要なものを取り込んでいけたらっていうのは最初から思っていたことでもありますし。

——ところでアルバムタイトルですが、『Absence』って“欠如”とか“不足”という意味の英単語じゃないですか。なぜこれをタイトルにしようと思われたんでしょう。

1曲1曲の歌詞を見ていると、足りない何かを探し求めたり、足りないから諦めて他のものに依存したり、すごく落ち込んでしまったり・・・そういう姿をどの曲も見せてる気がしたんです。なので“absence”っていう言葉がしっくりきて。

——ご自身も足りないものや欠けているものを埋めたくて音楽をやっていたり?

基本的にはそうですね。満たされるかどうかはともかく、そこに何かがあるから切実にやってるのかなって思います。

——“切実”ってすごくわかる気がします。では、プレイリストのお話も聞かせてください。テーマは「私がカバーしたことのある曲」ですが、ライブでもよくカバーはされるますか。

はい。そのときそのときで“歌ってて気持ちいいな”っていう曲があるんですよ。私がカバーするときって大体がその曲を聴かなくなった頃に“あの曲よかったな”って、歌詞だけ見て思い出しながらが多いんですね。うろ覚えのままなので、ちょっとオリジナルとは違っちゃうんですけど、その違う具合が私は気に入っていて。

——Joni Mitchell“Both Sides Now(青春の光と影)”はずいぶん古い曲ですよね。どんなきっかけで出会ったんです?

何かで聴いて“いい曲だな”って。すごく綺麗なメロディで、歌ってて楽しそうだなっていうのが最初の印象で。ジョニ・ミッチェルは他の曲もそうですけど、女性ならではの達観した感じや見据えてる感じがあって、そこにすごくハッとするんです。

Joni Mitchell – “Both Sides Now”

——Mandy Moore & Zachery Levi“I See the Light(輝く未来)”はディズニー映画『塔の上のラプンツェル』の主題歌ですよね。

この映画を観たのは公開されたずっと後だったんですよ。高校生のときにマンディ・ムーアの出てる映画を観て、友達と“かわいいよね!”って言っていて。で、あるとき“あのときのあの子がディズニー映画の声優をやってるんだ”って懐かしいなと思って観たんです。ちょうどプラネタリウムでライブをやるっていう企画をしていたときでもあったし、そのイメージとも合っていたのでカバーしようかなと。

Mandy Moore & Zachery Levi – “I See the Light”

——Aimee Mann“Wise Up”は映画『マグノリア』の主題歌で。

映画も大好きなんですけど、実は映画を観るより先にエイミー・マンの入門編的な感じサウンドトラックをすごく聴いていたんです。エイミー・マンって明晰な女性で、人間に対する洞察力がすごいんですよ。

Aimee Mann – “Wise Up”

——この曲も救いがないくらいに切ないですね。

でも、私は“救いがないことが救い”っていうこともあるなと思っていて。そういう曲が好きなんですよね。

——そしてThe Velvet Underground“Stephanie Says”。

大学生のときに組んだバンドで、当時、すごいヴェルヴェット・アンダーグラウンドが流行ってて。これはたしかベストに入ってた曲なんですけど、ドラムの子がモー・タッカー(モーリン・アン・“モー”・タッカー)の完コピとかしてて(笑)、それでカバーした思い出があります。今でもたまに引っ張り出して、歌ったりしてますね。

The Velvet Underground – “Stephanie Says”

——ルー・リードは好きですか。

大好きですね。聴いてるとすごく落ち着くんですよ。落ち着くし、頭のどこかをこじ開けられる気がするというか、何かが開ける感覚があるんです。

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【インタビュー】Predawnがカバーしたことのある楽曲プレイリスト In161215_predawn_3-700x467

EVENT INFORMATION

Predawn “Absence” Tour

2016.12.16.(金)
OPEN 19:00/START 19:30
名古屋 APOLLO BASE
ADV ¥3,500

2016.12.19.(月)
OPEN 18:30/START 19:30
恵比寿 LIQUIDROOM
ADV ¥3,500

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RELEASE INFORMATION

Absence

2016.09.21(水)
Predawn
RDCA-1044
Pokhara Records/HIP LAND MUSIC
¥2,400(+tax)
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text&interview by Yuko Honma
Photo by Koichi Ogasahara