フェニックス・アンド・ザ・フラワー・ガール
INTERVIEW

DE DE MOUSEレーベル初の海外アーティストに迫る!

47

自身の12年作『sky was dark』を皮切りにリリースをはじめ、今年で早くも3周年を迎えるDE DE MOUSEのレーベル〈not records〉。なんと今年は、レーベル初となる海外アーティスト作品のリリースも決定! それが今回の主役、フェニックス・アンド・ザ・フラワー・ガール(Phoenix and the Flower Girl)のEP『NALA』だ。

フェニックス・アンド・ザ・フラワー・ガールは、ロンドンのラッパー、フェニックス・トロイによるプロジェクト。ヒップホップをルーツに持ちながらも、インターネットを通じて知り合った多くのアーティストにインスパイアされ、彼自身の深くドープなラップと様々なジャンルを融合させたオルタナティヴな楽曲を多数発表。Seihoのソロ2作目『ABSTRKTSEX』やTomgggの初フィジカルEP『Butter Sugar Cream』を筆頭に、日本の若手トラックメイカー作品へのゲスト参加でも知られている。

そんな彼の正式なデビューEP『NALA』には、MaxoやDiveoを筆頭に、ネット界隈で人気を集める気鋭のトラックメイカーが多数参加。本文中で語ってくれているタイトル『NALA』に込めた意味同様、自分のホームを持ちながらも、様々な場所に飛び出して、そこに普遍的なソウルを見つけ出す――そんな彼ならではの魅力が、ぎっしりと詰まった好盤になっている。

今回はそんな彼の音楽観について、『NALA』について、そしてインターネットで知り合ったDE DE MOUSEや日本の若手トラックメイカーたちとの交流について、話を聞かせてもらった。

Phoenix and the Flower Girl – 『NALA』 EP Teaser

Interview:Phoenix and the Flower Girl

――今回は初めての取材なので、まずはあなたが音楽にのめり込んでいった経緯を教えてください。最初に夢中になった音楽はどういうものだったんですか?

小さい頃はジャズが好きだった。父親がジャズを聴いていたんだ。マイルス・デイヴィス、デューク・エリントン、それにアール・クルー&ボブ・ジェームスとか色々ね。それで自分も好きになったんだ。今から考えるとちょっと変な話だけど、ジャズにはソウルがあるし、そういう部分に惹かれたんだと思う。でも一番の理由は、自分が最初に聴いた音楽だったからだね(笑)。

――ジャズと言えばヒップホップのサンプル・ソースとして使われることも多いわけで、そこからヒップホップに興味を持つのは自然なことのように思えますね。

そうだね。ヒップホップもずっと耳にしてはいたんだけど、14歳ぐらいの時に初めて作品を買った。友達もみんな聴いていたしね。それでアルバムやアーティストを色々調べたり、最初に手に入れたアルバムから時代を遡っていったりした。それに、当時インターネットが登場して、色んな音楽にアクセスしやすくなったと思うんだ。その楽しさに目覚めて、色々と音楽を聴くようになっていったんだよ。

――中でも、ラッパーになりたいと思うきっかけになった作品はありますか?

そうだなぁ、コモンとかモス・デフの作品。ソウルフルでジャジーなヒップホップが好きだね。でも最初は、歌いたいと思っていたんだ。小さい頃からそうで、僕は歌うのが好きでね。学校の先生も「君はいい声をしてるね」と言ってくれたけど、でも自分では歌う自信がなかった。で、その時にラップがクールだったこともあって始めてみたんだよ。最初はただ楽しみで始めただけ。友達の家でカセットで曲を作ったりして。まぁ、内容は本当に最悪だったんだけど……(笑)。そこから今でもやり続けてるって感じなんだ。

Common – “The Light”

――それにしても、あなたのラップはとてもロマンティックであったり、詩的な表現があったりして、いわゆるヒップホップの王道とは違う美学を持っているように感じられます。これはなぜなのでしょう?

結局、自分自身がそういうキャラじゃないからだと思う(笑)。性格もだし、聴いてきた音楽もそうだし。それに、喉が潰れちゃってるからディープな音楽の方が合うと思うし。(高い声で)「イェー! イェー!」みたいにラップできないんだよ(笑)。だから、自分自身に正直にやっているうちにこうなっていった。基本的に目標は何も定めずに、何が大切かも考えないようにしてるんだ。考えすぎると、どんどん難しいものになってしまう。僕は、それよりもオーガニックなものにしたいんだよね。昔は色々考えながら(ラップを)紙に書きとめたりしていたんだけど、今はもうそういうこともしてない。ボイス・メモとかに吹き込んで、アイディアを溜めて、その音自体にインスパイアされて曲を作っていくんだ。

――名義はどういう基準で使い分けているんですか?

まず、アーティスト名がフェニックス・トロイ。僕はもうこの名義を2年ほど使っているけど……その時点で色んな音楽を作ってたんだ。ダビーなヒップホップ、ソウル……本当に色々ね。それに、インターネットを通じて色々な音楽を知って、自分の価値観も広がって。だからこれまでとは全然違うことをしようと思った。で、フェニックスは「再生」の象徴だよね? 炎の中から復活してくるフェニックス、みたいなイメージ。そこに僕のミドル・ネームの「トロイ」を組み合わせてフェニックス・トロイという名前にしたんだ。他のプロデューサーの作品に参加する時にはこの名義を使ってるね。

そしてフェニックス・アンド・ザ・フラワー・ガールという名前は、僕のソロ・プロジェクトとして、音楽だけじゃなくてヴィジュアルとか映像とか全部の要素も含めたものとして使ってるんだ。

フェニックス・アンド・ザ・フラワー・ガール

次ページ:ミュージシャンを見つけたのはSoundcloudから

杉山仁

ライター

乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、Hard To Explain~CROSSBEAT編集部を経て、現在はフリーランスのライターとして活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』をはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Qeticの最新情報をお届けします。