なたは人間椅子を知っているだろうか? 明治の文豪のようなギタリストと白塗りの僧侶のようなベーシスト、そしてハードロッカー然としたドラマー。結成24年目を迎えた彼らに今、熱い注目が集まっているその理由の筆頭は、今年の<オズフェスト>でのももいろクローバーZとの競演におけるインパクトの大きさにあるのはもちろん、若いリスナーがバンドを知るきっかけとしてTwitterなどのSNSを活用する背景もあるだろう。ある種、若いリスナーにとってはまったく未知の新鮮なビジュアルと音楽性を持ったバンドとして認知を広めている。彼らの日本の神話や民族的なエレメンツを持った歌詞世界。そして音楽的には先の<オズフェスト>のメインアクトでもあったブラック・サバスにも通じるシンプルなギター、ベース、ドラムからなるハードでエクストリームなサウンドが主体。そしてそれは進化しつつも、基本的に20年以上ブレない芯を持っている。一見、奇怪で正体が掴めない人間椅子だが、果たしてその世界観の意図とは? そしてもっとシンプルに言えば20余年という決して短くはない活動歴を誇る彼らはどうしてサヴァイブできたのか? 今回はオリジナルとしては17作目にあたるニューアルバム『萬燈籠(マンドロ)』のリリースを機に、メンバーの素顔に迫ってみた。なお、インタビューの最後には若い女性ファンからのアンケートにも答えてくれたので、一層、人間椅子を身近に感じられるはずだ。

Interview:人間椅子(ナカジマノブ :Ds,Vo / 和嶋慎治:G,Vo / 鈴木研一:B,Vo))

――<オズフェスト>の出演は大きなバズを起こしましたね。

和嶋慎治(以下、和嶋) 名前は広がったと思いますね。だってネットのニュースに出たからびっくりしましたよ。そんなこと今までなかったですからね。

――そこでSNSの威力を感じたり?

和嶋 うん。ここ数年前からちょっとずつライブの動員が伸びてきたんですよ。僕らとしてはずっと同じような感じで続けてきたんです。で、増えてきたのはそのSNSですか? そういった口コミの時代になって広まってきたんじゃないのかな? と僕は思ってますけど。

――若いファンが増えたことをライブ以外で実感することはありますか?

ナカジマノブ(以下、ナカジマ) 若い男の子に声かけられることが以前より全然増えましたね。

和嶋 男の子! 俺は、こないだ池袋の駅歩いてたら若い女の子に声かけられました。あんなに人の多いとこでよく見つけたなと思って。

――若いファンは他に何を聴いているのか興味があるところなんですが。

和嶋 例えば2年ぐらい前ですけど、こんなことがありました。チラシをコピーしてたら近所の女子大生に「人間椅子、毎日聴いてます!」とか言われて「君、若いのに珍しいね。他にどういうの聴いてるの?」って聞いたら「筋肉少女帯です」って(笑)。そういう人はいるみたいですね。若いバンドでいわゆるビジュアル系ってのはちょっとカッコイイ感じでしょ? そうじゃなくてなんか気味の悪いこととかやるグループってあんまりいないのかなって思いましたね。いわゆるサブカル的なことをやるってのは。