外の人気レーベルから作品を発表後、デビュー作『A Film』を完成させたJesse RuinsやCuz Me Painのメンバー。米オースティンのインディ見本市<SXSW>に出演して、7月に新作を出したTeen Runnings。バラㇺ・アカブを彷彿とさせる孤高のトラックメイカーTaquwami。ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハート直系のWallflower。ミツメの大竹雅生も参加するMöscow Çlub――。

ここ数年、日本のとあるインディー勢の躍進が続いている。それぞれ音楽性はバラバラながら、彼らに共通するのは「リアルタイムで海外のインディ・シーンとシンクロしている」こと。中でもアニマル・コレクティヴの系譜に連なる万華鏡のようなエクスペリメンタル・ポップを鳴らすのが、東京を拠点に活動するNEW HOUSEだ。彼らが2年ぶりの2作目『Kaleidoscopic Anima』を完成させた。

前作『Burning Ship Fractal』から一転。MVが先行公開された“Blow Wind Blow”、同じギター・リフを持ちつつも全く異なる景色が展開する“Your Kaleidscopic Anima”の“Pt1”と“Pt2”、ポップなメロディーが耳に残る“Landscape”など、今回の彼らは非西欧圏の音も取り入れた持ち前の前衛ポップにフォーキーな魅力を追加。リラックスしたムードが作品を覆い、全編はまるでアニコレの『サング・トンズ』や『フィールズ』をBGMにヴァンパイア・ウィークエンドが踊っているかのようだ。Qetic初登場となる今回は、バンド結成の経緯&影響源、新作の内容を直撃! 今まさに日本と海外との距離を縮めようとしているこの作品、あなたもぜひ、体験してみてください。

NEW HOUSE -“Blow Wind Blow”

Interview:NEW HOUSE(Yuta)

–––まずはNEW HOUSEを結成した経緯について教えてください。また、その当時と今とでは、作りたい音楽に変化が表れていると思いますか?

YutaとSeiya、Moro、Komuroと、今はやめてしまった子でファッションの専門学校の文化祭の後夜祭のためにバンドを結成しました。1st EPを発表後にギターの子が抜けてしまい、地元の友人であるPun Pun(当時、一軒家でルームシェアをしていました)を誘い、現在までこのメンバーで活動しています。当時はみんな演奏経験もなく、自分も作曲経験に乏しかったためにシンプルな曲が多かったですが、今はこれまで聴いて来た音楽や内面にあるものを少しずつ表現できるようになってきて幅が広がっていると思います。

–––NEW HOUSEのサウンドからは様々な音楽を堀りに掘ってきた人ならではの欧米圏を越えた幅広い影響が感じられます。メンバーの影響源はどんなものなのでしょう?

それぞれに聴くものはあると思います。フォーク、テクノ、フォルクローレ、エクスペリメンタル・ミュージックなど……ジャンルに分けてしまうと沢山ありますが、共通しているのは、ポップなものが好きなところですね。良いと思ったものを聴かせるとすぐシェアできるのも、そこからきていると思います。

–––頻繁に比較されるアニマル・コレクティヴなどのUSインディー・バンドには、どんな影響を受けましたか? 欧米圏以外の音楽を積極的に掘るという姿勢は、彼らとかなり共通していますね。

マインド的なものに確実に影響を受けています。 特に「雑多な音楽の中から見出せる普遍性」を追い求める姿勢は僕らの中にも一貫してあるので、とても共感しています。

–––ブラック・リップスやヴィヴィアン・ガールズなど、海外アーティストの前座を務めたり、2010年には<SXSW>にも出演しました。これはどんな経験になったでしょうか?

彼らのどんなときでも全力でプレイする姿勢(当たり前のことですが……)は目を見張るものがありました、日本で名が知られていないバンドもすごく格好良かったり、逆に名の知られているバンドが僕らの後に出てたり、すごく身近に感じられて層の厚さを感じました。NYでブラック・リップスの前座を行なった時の緊張は今も忘れられません……。

The Black Lips in Tijuana(VICE – Music World)

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