——今回はダグ・ギラード(以下、ダグ)が正式メンバーとして参加していますね。彼とはこれまでも作品を共にしたことがありましたが、最初からレコードに関わったのは初めてです。

マシュー うん。今まで参加してくれた時は、出来上がった作品に彼の要素を足してもらったわけだけれど、今回はリハーサルの段階からすべて一緒にやることになった。音楽的に思ったことを即座に形に出来る人が最初からいてくれたことは、すごくエキサイティングだったよ。僕らはとてもスローな人間の集まりだし、全員独学でやってきた人間だったから。ダグも独学ではあるけれど、彼は5歳の頃からカセットテープで曲を録ったりしていた。フッと湧いたものを即座に形にしてくれる面白さがあるんだ。最初に曲の原型を聴かせている段階から、彼はもう弾けてしまう。それが信頼できるところで、今回の彼の貢献だと思うね。

——そして全編にはジョー・マクギンティー(ザ・サイケデリック・ファーズ他)、ケン・ストリングフェロウ(ポウジーズ他)、マーティン・ウェンク(キャレキシコ)、ダン・ウィルソン(元セミソニック。アデルへの楽曲提供なども)といった豪華メンバーが参加していますね。

マシュー そうだね。マーティン・ウェンクはずっとゲスト・プレイヤーとして参加してくれたけど、ベルリンの彼の家に行った時に今回の曲も演奏してくれることになったんだ。彼のホーンって目が覚めるような魅力があると思うんだよ。

——今回の“Out Of The Dark”でもとても印象的なホーンを加えています。

マシュー うん。そしてダン・ウィルソンの場合は、最初はナダ・サーフのための曲を書いていたわけではなかったんだけど、出来上がった曲がすごくよかったから、今回のアルバムに入れずにはいられなかったんだ。ジョー・マクギンティーは長年一緒に演奏していたけど、NYのルーザーズ・ラウンジでのトリビュート・ショウ(ジョーが立ち上げ、音楽ディレクターを務めるシリーズ)に僕が参加した縁で、今回ナダ・サーフのアルバムに参加してもらった。ケン・ストリングフェロウも長い友人だけど、僕が彼の作品に参加したから、今回そのお返しにアルバムに参加することになったんだ。彼が参加してくれた“Animal”はもともとストーンズっぽい曲だったんだけど、そこから離れたくて、彼の力を借りたんだ。全員彼らだからこその魅力を加えてくれたけど、たまたまいいタイミングでいてくれた、ということでもあったんだよね。

——14年にレア・トラック集『B-Sides』をリリースしたことで、今回の作品に向けて気づいたことなどもあったんでしょうか。

マシュー 少しはあったかもしれない。『B-Sides』を始める少し前に、ジュリアナ・ハットフィールドのために書いた“Waiting For You” という曲があって(前述のマイナー・アルプスの曲)、今回の新作のデモの頃には、その時のキーボードの要素が少し入ってきていたと思う。あとはあのタイミングで昔の自分の曲を聴いて、「これ誰が歌っているんだよ」「もしかしてテニスボールが半分ぐらい口の中に入っているんじゃないか?」って思ったりとか(笑)。歳を取るのって、「今日25歳だと思っていたら次の日にはもう35歳だ」みたいなところがある。きみだってそうだよね? 僕も昔『GUITAR WORLD』で編集をしていたけど、今自分がやった取材を聞き返すと、アーティストの発言をさえぎって次に進んだりしていて、自分自身に「おい、ちょっと静かにしろよ!」ってなったりしていたよ(笑)。

Minor Alps – Waiting For You

——(笑)。今回のタイトルは『You Know Who You Are(きみは自分を知っている/自分の個性や長所をよく理解している)』ですが、今年はあなたたちが『High/Low』でアルバム・デビューをしてからちょうど20年です。これまでのキャリアの中で、自分たちを知ることはできましたか。「ナダ・サーフらしさ」とはどんなものだと思っていますか。

Nada Surf – Rushing

マシュー 何だろうなぁ。自分たちのことを分かっている状態ってそのことについて考えなくていい状態だと思うから、難しいね。でもひとつ言えるのは、インディ・ロック・バンドの世界では、多くのバンドがビートルズになりたがっている。ビートルズって、本当は全然インディじゃないのに。で、僕らはそういうのは「よく分からないな」って感じで、全然考えたりしないんだよ。曲が行きたいと思う方向に行かせてあげる。ただそれだけ。たとえば、2作目『The Proximity Effect』(98年)の“80 Windows”はとてもスローな曲で、僕らにとっては結構大変な作業だった。そして続く3枚目『Let Go』(02年)ではより静かな曲が出来て、「なんてクレイジーなんだ。こんな曲を書くなんて、僕らマシュマロぐらいヤワなバンドになっちゃったんじゃないか!?」って思ったこともあって。でも、今はもうそんなことは気にしない。やっとそこに到達した気がするよ。だからこそ『You Know Who You Are』っていうか。僕らは自分たちのことをよく分かっている状態に辿り着けたんじゃないかな。

アジカン・ゴッチの盟友。USインディ・ヒーロー ナダ・サーフ最新作 music160229_nadasurf_1

photo by Bernie DeChant

RELEASE INFORMATION

You Know Who You Are(ユー・ノウ・フー・ユー・アー)

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【日本初回盤のみ限定特典:ニュー・アルバム+1CDの2枚組】
2014年に配信限定で発売されたレアトラック集『B-Sides』をボーナス・ディスクとして丸ごと一枚付属
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