様々なアーティストにテーマに沿った選曲をしてもらうことで、その人ならではのリスナー体験や音楽にまつわる思い出を語ってもらうプレイリスト企画。今回は東京のインディ・シーンを拠点に活動し、6月8日(水)に通算4作目となるフルアルバム『A Long Day』をリリースする4人組、ミツメの登場です。

些細な変化が積み重なって気付けば全く違う風景に辿り着いていく、まるで「長い一日」のドキュメントのような『A Long Day』の楽曲は、ささやかながらも人を惹きつけてやまない楽曲で人気を獲得してきた、このバンド自体の魅力ともリンクするような雰囲気を持っています。

今回は大竹雅生(G, Key)を除いた川辺素(Vo, G)、ナカヤーン(B)、須田洋次郎(Dr)の3人に、それぞれ3曲ずつ「自分のルーツ」と言える楽曲を選んでもらいました。

ミツメ 4th Album『A Long Day』Trailer

INTERVIEW:ミツメ(川辺素[Vo, G]、ナカヤーン[B]、須田洋次郎[Dr])

ミツメのルーツとなった楽曲プレイリスト interview160608_mitsume_1

ナカヤーン “『A Long Day』は夢を見ているような感じもあると思う”

――15年のシングル『めまい』は、多重録音を生かしてスタジオで出来ることを追究した前作『ささやき』とは対照的に4人の演奏に焦点を当てた作品になっていましたが、今回の新作『A Long Day』も引き続き、ライヴで再現可能なものになっていますね?

須田 そうですね。ライヴに限らずとも、聴いた時に「4人で演奏している姿」が浮かんでくるようなものにしたかったんです。これは『めまい』の頃から出ていた話ですね。

――とはいえ、シンプルなアルバムかと言うとそうでもないというのが面白いです。たとえば、“漂う船”はインストゥルメンタルの8分弱もある曲になっていますし。

ナカヤーン それは曲と曲を「繋ぐ」ということを意識した曲でした。

川辺 今回は、最近のライヴでもやっている「曲と曲の間を出来るだけシームレスに繋ぐ」ということをアルバムに持ち込みたいと思ったんです。そこで今回はレコーディング前に曲順を決めて、「この順番だから、この曲とこの曲の間はこうしよう」と作業をしていきました。DJミックス的とまではいかないですけど、「気づいたら場面が移り変わっていて、入口と出口とでは全然違うところにいる」。そういう感覚を出せたらいいなと思っていました。

――タイトルの『A Long Day』(=長い一日)も、そうした時間の経過を連想させるような言葉ですが、特にどんな部分がこのタイトルに合う作品だと思っていますか?

川辺 たとえば、7曲目“漂う船”の長いインストには、暇で長い1日というか、「ぼーっとしていたら昼下がりから19時ぐらいになっていた」みたいな感じがありますよね。そこは『A Long Day』っぽいというか。

ナカヤーン 夢を見ているような感じもあると思うんですよ。僕にとってはその夢の中で、色んな時間が移り変わっていくイメージですね。

須田 僕も夢とか想像の一日の中で、「色んな場所で色んなことが起きて……」というイメージがあります。最初の“あこがれ”が朝たたき起こされるような感じで始まったとしたら、最後の10曲目“幸せな話”には一日の終わりのような雰囲気があるというか。まるで走馬燈のようなものを見ているような感じもあると思うんですよ。

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