リスナーの感性を揺さぶる、圧倒的にキャッチーで中毒性のあるメロディ。日常にインスパイアされた、純情でひねくれたフレーズの歌詞。2014年、オルタナ・シーンに颯爽と登場したHelsinki Lambda Clubのファースト・フルアルバム『ME to ME』が、10月26日(水)にリリースされます。プロデューサーにはAnalogfishの下岡晃が参加し、より色彩豊かでクオリティの高い作品に仕上がりました。——オルタナティヴという傍流から、ポップスを再定義するには——デビュー以来、彼らが向き合ってきた命題へのアンサーとなる同アルバムについて、下岡が与えた評価がこちら。「僕らの新しい選択肢(ニューオルタナティヴ)」。今回は、Helsinki Lambda Club のルーツである「ニューオルタナティヴの根底」というテーマで、メンバーそれぞれ3曲ずつ、プレイリストを作ってもらいました。

Interview:Helsinki Lambda Club

【インタビュー】Helsinki Lambda Club ニューオルタナティヴの根底 inteview161016_helsinkilambdaclub_1-700x467
——10月26日(水)にHelsinki Lambda Club(以下、ヘルシンキ)初となるフルアルバム、『ME to ME』をリリースされます。プロデューサーには橋本さんが尊敬してやまないAnalogfishの下岡晃さんを起用されていますよね。

橋本薫(以下、橋本) 僕たちはずっとセルフプロデュースでやってきたんですけど、あまり音楽的な知識や理論がなかったので、頭の中に描いたものの言語化や、音にできないというモヤモヤを解消するのが難しかったんです。それが下岡さんとならできると思ったので。

——どうしてそう思ったんですか?

橋本 例えば、面識も無いプロデューサー然とした人が来ても、みんな萎縮してしまうかもしれない。だけど、下岡さんなら好きな音楽や考え方が自分と近いと思っていたので、それじゃあお願いしてみようということで、今回プロデュースしてもらう流れに至りました。

——外の要素を入れることに加えて、自分たちで特に意識していたのは?

橋本 アルバム自体もともとコンセプトがあった訳ではなくて、自分たちが良いと思えるものを、良いと思える形にすることがまず一番にあって。あとは、今まで曲数のあるパッケージで出したことがなかったので、今回のアルバムでヘルシンキのカラーを見せて、これが僕たちだと、リスナーの方々にちゃんと伝わればいいなと思って制作しました。

——今回は「ニューオルタナティヴの根底」というテーマでプレイリストを作ってもらいました。が、本題に行く前にまず、ヘルシンキというバンドのルーツを教えてください。

橋本 前身バンドの時は邦楽的な要素が強かったんですけど、メンバーも入れ替わって名前も変えるというタイミングで、コンセプトとしてもう少し洋楽を取り入れる方向に。その時に、共通認識というか、下地としてあったのがザ・ストロークスとか、ロックンロールリバイバル系が多かったかもしれないですね。基本的には僕の好きな色を出してしまっていたんですけど、メンバーみんなが楽しめるようアレンジとかを変えたりしていました。

——なるほど。ソングライターの橋本さんとしては、楽曲を作る際「キャッチーさ」についてはどう定義していますか? 以前から、ヘルシンキはキャッチーな曲にこだわりたい、とおっしゃっていましたが。

橋本 定義ってなると難しいな……そこは本当に、今まで培ってきた感覚の擦り合わせです。キャッチーなメロディにこだわる理由は、自分たちの音楽を聴く人の間口を狭めたくないから。コアな音楽好きの方にはルーツが見えてニヤリとする部分があると思いますし、全然詳しくない人が聴いても純粋に楽しめるものを作りたいという思いは、ずっと持っています。

——歌詞についてはどうですか?「日常」をテーマに据えていますが。

橋本 フィクションを作るのもアプローチとしては面白いし、全然ありだと思うんですけど……。やっぱり自分自身がグッとこないと作る欲が湧かないので、そうなると必然的に、生活や日常という身近で地続きにあるものが歌詞に出てくるんだと思います。

——では、話をプレイリストに戻しましょう。まず橋本さんが選んだのは、ニルヴァーナの“Molly’s Lips”。

橋本 ニルヴァーナはずっと大好きで、僕らの新アルバムも90年代オルタナの要素を感じさせる作品です。なぜ“Molly’s Lips”を選んだかというと、シンプルに同じコードで進んでいって、そこに抜群のメロディが乗るというフォーマットに痺れたから。そういうのに憧れているんです。

Nirvana – “Molly’s Lips”

——次はブリット・ポップを代表するブラーの“Country House”。 シニシズムとアンチ・ロックが共存した曲です。

橋本 ブリット・ポップってオルタナとは同時代だけど別物。でも最初に聴いたとき、意識せずに同列の音楽として聴いていて、同じように吸収しました。僕らも大切にしている「相容れないものの共存」ということで、この曲に。

Blur – “Country House”

——そしてスピッツの“恋は夕暮れ”。最も大衆に受け入れられたオルタナバンドといっても過言ではありませんが、中でもこの曲を選んだ理由は?

橋本 抜群にメロディが良い。大衆が聴いても良いメロディだと思うだろうし、すんなり歌詞も入ってくる。だけど、しっかり聴いてみると歌詞はエキセントリック。それをポップに昇華できるのが天才的です。僕らのアルバムに入ってる“目と目”という曲は、スピッツの影響も受けています。

スピッツ– “恋は夕暮れ”

Helsinki Lambda Club、橋本薫以外のプレイリストも公開!

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RELEASE INFORMATION

ME to ME

2016.10.26(水)
Helsinki Lambda Club
UK.PROJECT inc.
¥2,700(tax incl.)
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詳細はこちら

EVENT INFORMATION

Helsinki Lambda Club『ME to ME』Release Tour <From ME to YOU>

2016.11.01(火)
OPEN 18:30/START 19:00
仙台enn 3rd
ADV ¥2,500/DOOR ¥3,000

2016.11.10(木)
OPEN 18:30/START 19:00
福岡Utero
ADV ¥2,500/DOOR ¥3,000

2016.11.11(金)
OPEN 18:30/START 19:00
広島4.14
ADV ¥2,500/DOOR ¥3,000

2016.11.15(火)
OPEN 18:30/START 19:00
池下CLUB UPSET
ADV ¥2,500/DOOR ¥3,000

2016.11.23(水)
OPEN 17:30/START 18:00
松本ALECX
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2016.11.29(火)
OPEN 18:30/START 19:00
稲毛K’s Dream
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2017.01.22(日)
OPEN 17:30/START 18:00
心斎橋Live House Pangea
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2017.01.27(金)
OPEN 18:00/START 19:00
渋谷WWW
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text&interview by Oike Karasuma
photo by Mayuko Yamaguchi