なりにギターウルフの音楽を例えると、「擬音ロックンロール」とでもなるだろうか。ガーッとか、ゴーッとか、グワッとか、ブォーッといった、カタカナで表したくなる、あの感じだ。言葉で説明のつけにくい、まるで音のようなカッコ良さを、爆音の歌やサウンドに乗せてダイレクトに観る者、聴く者の胸を鷲掴みにする、ギターウルフの音楽。しかし彼らの場合は、それらが単なる音やインパクトのみならず、そこに言葉やストーリー、はたまた意味や光景なんてものをキチンとうかがわせたりする。

そんなギターウルフが、前作アルバム『宇宙戦艦ラブ』から2年4か月ぶりにニューアルバムをリリースした。タイトルは、『野獣バイブレーター』。そのタイトル通り、粗野で荒々しく、聴く者の全身を震わせる、最新の彼ららしさが詰め込まれた今作は、不変さと今作ならではの新要素が同居した、最新のジェットロックンロール集と言えよう。基本、彼らならではのサウンドが貫かれながらも、マイナーコードを初めて起用したり、ギターウルフ版シューゲイザーか、外道の「香り」へのオマージュか、を思わせる曲、はたまたブギーを採り入れた曲や、ホラ貝やシンセが導入された曲があったりと、今作ならではの試みも多数散見される。

結成から26年、作品を追う毎に少しづつのインディビデュアル性を加え、常に<最新のジェットロックンロール>を放ち続けている彼らに、このニューアルバムと共にQeticに再び降臨願った。

Interview:ギターウルフ(ギターウルフ:セイジ/ドラムウルフ:トオル/ベースウルフ:U.G)

【インタビュー】ギターウルフの最新ジェットロックンロール満載! 新しい試みもブレンドされた快心の新作が見参!! feature130228_guiterwolf_seiji-1

大きいところだろうが、小さいところだろうが、結局、始めちゃうとどこも一緒になっちゃう

――前作アルバム『宇宙戦艦ラブ』からのこの2年4か月は、海外ツアーや国内での大型イベントの出演も含め、かなり精力的にライヴを演ってきましたね。

セイジ:一昨年前ぐらいから、またずっと向こう(海外)に行き出したからね。またライヴの本数は増えたかな。とは言え、特に近年がってわけでもなく、常に充実してます。俺たちは。がっちりロックしたこの2年間だったなと。

U.G:俺は特にそんなに多くライヴをしたって印象はないかな。いつも通り。そんな2年間でした。

トオル:ホント、いつも通り(笑)。いつでも充実してますよ、俺たちは。

――特に昨年は結成25周年、メジャーデビュー15周年を迎え、夏に矢沢永吉さんのコンサートにてオープニングアクトでスタジアムに出演したり、年末は武道館で新進気鋭のロックバンドたちと共演したりと、更に活発に活動しているように映りました。

セイジ:いやー、良い経験になりました。それぞれ。特に武道館は、初めて演ったんだけど、昔から憧れもあったし。ホント、出来て嬉しかった。ただ、モニターが聴き取りづらくて。途中から慣れたけど、最初は全く音が取れなかったからね。

――武道館でのステージでは、MCもなく、徹頭徹尾自分たちのスタイルを貫き通してましたね。あれにはある種の美学を感じました。

U.G:やっぱり大きなステージは楽しかったですよ。音が聞こえにくかったんで、ステージをウロウロしながら、音がよく聞こえるところを探してました(笑)。大勢の人がいる前で演るのは、非常に楽しいですね。まっ、小さいところは、小さいところで楽しいところもあるけど。

トオル:嬉しかったですよ、特に武道館は。とは言え、凄い嬉しいのは、演る前だけで。結局、始めちゃうとどこも一緒になっちゃう。叩くだけって感じで、どこも関係なくなっちゃう。で、この前も武道館の自分たちの出番が終わって、「あっ、俺たち、あの武道館で演ってたんだ。だったら、もっと楽しめば良かった」なんて思ったし(笑)。

――矢沢永吉さんのライヴの出演はいかがでした? 矢沢さんの“アイ・ラヴ・ユー、OK”もカバーしているほどシンパシーを持っている憧れの方に誘われての出演だったわけですが。

セイジ:いやー、BIGでしたよ、永ちゃんは。まっ、俺たち客入れの時の出番だったから、そんなに多くの人に観てもらえなかったのかもしれないけど、俺たちはシッカリ永ちゃんのライブは見ましたからね。で、その日の永ちゃんのステージがホント良くて。俺、これまで永ちゃんのライヴを3回観たことがあるんだけど、今回が最も良かったな。いやー、びっくりした。

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“野獣バイブレータ—”が出来たときに、「これをタイトル曲に持ってこよう!!」というのはあった

――そんな大小のライヴを繰り返しながら作ったと思しき、今回のニューアルバム『野獣バイブレーター』ですが、今作を聴いて色々と新しい発見や挑戦が見受けられて興味があります。

セイジ:そう? そんなにやってることは変えてないんだけどなぁ。まっ、曲も違えば、自然と手法も変わってくるからね。毎回同じことをやっている気はないし、作品だから毎回工夫したいし。今回も今回で、今までになかったところも含めて工夫はあるだろうね。ただし、そんなに頭で考えてのことではないね。

――では、逆に今作を作るに当たって、何か<こんな作品にしてみよう>的なところは?

セイジ:全くなかったね。途中、1曲目の“野獣バイブレータ—”が出来たときに、「これをタイトル曲に持ってこよう!!」というのはあったけど。結果、この曲がこのアルバムのトータル的なイメージにもなったんだけど。とは言え、今回も自分たちの感性で作っただけです。

U.G:曲調で言ったら、“野獣バイブレーター”は激しいんだろうけど、どの曲もタイプは違えど、自分の中では激しい曲だと思っていて。

トオル:演ってる時はいつもどおりでしたよ。バリエーション付けも全く意識しなかったし。出来あがったものを客観的に聞いたら、確かに、「これはあの要素がある」ってところもあるんだろうけど、それも含め、全部今のギターウルフっぽい作品かなとは思います。

――ちなみに今作の制作は?

セイジ:ライヴを演りながら作っていきました。新曲が出来る度に何曲かライヴでも試したし。

――ちなみに“野獣バイブレータ—”の次に出来た曲は?

セイジ:“幽霊ユ—”でしたね。

――これまでの作品が宇宙的なキーワードの曲が多かったのに対して、今作では、わりと歴史的なキーワードも出てきますね。歴史の勉強にもなる(笑)。

セイジ:そんなこと思いながら作ってないよ(爆笑)。これらにしても、特に「歴史ものを書こう」と思って書いたわけじゃなくて、最初にタイトルがバッと生まれて、そこから自然と出てきた言葉ばかりだから。あくまで歴史とか、勉強とか、全く関係なくロックの曲として作っただけなんで。

――ちなみにM-8の“マグマ信長”だったら?

セイジ:これは、マグマ信長という人にロックを感じたというか。ガーッと出てきたものを書き留めただけで。俺は特に歌詞を歌っているわけじゃなく、ロックを歌ってるわけだから、マグマ信長に関する歌いやすい言葉を乗っけていっただけで。それをキチンと起承転結で物語づけていくのは得意なんで。これに限らず、一番大事にしているのは、<ロックの曲>ってことだから。

――この“マグマ信長”には、ホラ貝っぽい音も入ってますね。

セイジ:これは本物のホラ貝です。自分も吹けるけど、今回は得意な方に吹いてもらいました。

――えっ、セイジさん吹けるんですか? あれ、吹くのかなり難しいんじゃ?

セイジ:難しかったけど、吹いているうちにいつの間にか吹けるようになってましたね。

――今作は、そのほら貝もですが、シンセサイザーの入っている曲もありますよね。

セイジ:入ってるけど、それも「シンセを入れよう」って話からじゃなく、作っていくうちに必要になった音がたまたまシンセだったって程度で。だから、使い方にしても、どちらかといったら楽器としてよりは効果音みたいなもんで。もう、感性とイメージに任せ、そこに入れてみただけだね。

U.G:それこそ、「ここにこんな感じの音があったらいいんじゃねぇ?」レベルで。

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