今年、結成20周年を迎えるBRAHMAN。ステージや会場キャパの大小に関わらず、国内外にて無数にライヴを繰り返してきた孤高のロックバンドだ。そのストイックで、まるで自己と向き合い、挑まれるように放たれる強靭な歌の数々は、全霊を込めたその伝達姿勢や態度と共に、これまで多くの信奉者や追随者を生んできた。

私が彼らをひとことで称すとすれば、「ひとりひとり、その時々で感受が変わるバンド」。基本、彼らが放つ歌やサウンド、その伝達メゾッドは来し方、そう変わってはいない。が、しかし、その時々のシチュエーションや時代背景、心境や状況によって、時に激しく、時に優しく、時に痛く、時に哀しく思え。その音楽性は聴く者/観る者の胸ぐらを掴み、腕を掴み、ぐいっと引っ張ったり、引き寄せたり、突き放したり、たぐり寄せたり、導かれたりしながら、各人の中で昇華されていく。それらは折につけ、叱咤や激励、鼓舞や愛撫を伴い、挑まれているようにも、睨まれているようにも、微笑まれているようにも、慈しまれているようにも、高潔にも、鎮魂にも響く。そして、どの曲からも感じるのは圧倒的なバイタライズだったりもする。

そんな彼らがニューシングル“其限~sorekiri~”をリリースし、自らの存在意義を中心にフォーカスされた、自身やまつわる人たちの証言から炙り出され、浮彫りにされた、当代切ってのクリエイティブディレクター箭内道彦初監督による映画『ブラフマン』が公開される。これらがまた、それぞれ感受手毎に捉え方、感じ方、受け取り方、響き方が違ってくるであろう作風なのだ。

インタビューの相手はボーカルで作詞担当のTOSHI-LOW。これら一連の作品を観終わり、聴き終わった後、みなさんが彼らをどう捉えるのか? それが今からとても楽しみだ。

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“其限~sorekiri~”ジャケット

Interview:BRAHMAN(TOSHI-LOW)

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BRAHMANは哀愁性を根本にしたワールドミュージックバンド

ーーまずは結成20周年おめでとうございます! とは言え、BRAHMANの場合、常に一歩一歩、全身全霊を込めて歩んできた感があるので、振り返っている場合じゃねぇって言われそうですが(笑)。

(笑)。いつ終わってもしょうがないって気持ちで続けてきたから、ここまでやれるなんて予想もしてなかったよ。

ーー20年前は20年後の自分を想像してたりは?

全くしてなかった。ただ、楽曲を作り始めるに当たり、(ドラムでオリジナルメンバーの)RONZIとは、「旬なだけの楽曲はやらない」ってことは話してた。「何年後でも自分たちが演奏したり、歌うに耐えうる曲を作ろう」的な話とか。まっ、移り変わって行く状況の中でも流されないように、との気持ちを込めてね。

ーー今から20年前のシーンだと、いわゆるミクスチャーロックやメロディックパンクが主流でしたが、BRAHMANは当時から独自の音楽性を追求していた感があります。

当時はパンク全体が西海岸系の、晴れて陽気な方向性全盛だったから(笑)。それに対して俺たちは全くその逆。ジメッ、ドヨーンだったからね。

ーー欧米からの音楽性の独自解釈のバンドが多かった中、BRAHMANは、それらとは違い、もっとアジアやオリエンタルな香りがしてました。

元々その足し算自体誰もやってなかったから。オリエンタルやエスニック、アジアないわゆる民族音楽をハードコアやパンクロック的なアプローチやアティテュードで演っていくスタイルが。

ーーそもそもそのアジアや東洋の音楽との融合に至った経緯は? やはり思想や精神的なところから?

今振り返ると、とくに東洋でもなかったんだなって。哀愁を感じるものといった方が正しかったのかも。“哀愁=(イコール)いわゆる東洋のもの”って解釈だったんだけど。今考えればフォルクローレやケルティック、アイリッシュやスパニッシュでも、その哀愁性は擁してるし。そう考えるとワールドミュージックだったんだな、俺たち。と今になり思います。

ーーその哀愁性はBRAHMANの重要なファクターの一つだと思います。みなさんの音楽にはどれも、どこか拭い切れない哀しさを宿している印象があります。

いま思うと、最初にキチンと指標を立てて、常にそこに向かっていったからこそ続けられたところもあるからね。

ーーかといって、同じことをワンパターンにやり続けて来たかというとそうでもなくて。作品毎に常に自分たちらしさを保ちつつ、変化や深化を遂げてきましたもんね。

でも、20年以上やっているバンドを見てると、演奏がどうこうを明らかに超えた何かが出ててるなって思う。それは長年一緒にやってきた者同士だからこそ醸し出せる雰囲気や、らしさ。経験と年月を経たアーティストのみが辿り着ける境地や凄味、気(き)とでも言うか……。そんなものを感じることがある。とは言え、それが自分たちから出てるかは分からないけど。一生俺たちは自分たちを客観視できないだろうからね。

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