1970年代イギリスの少年院を舞台に、未成年の受刑者たちへの不条理な暴力と冷酷極まる管理システムを赤裸々に描いた問題作、『SCUM/スカム』(1979)。本国公開から35年、遂に日本初公開となる!

本作の監督を務めたのは、故アラン・クラーク。BBCのディレクターとして本作の基になったTV版を監督するも、その暴力表現と反体制的な制作方針が局内の検閲に引っ掛かりお蔵入りに。しかしそのTV版を執念でリメイクし、本作で劇場映画デビューを飾った。1979年当時、成人映画として英国映倫からX指定を受けた表現は、今も強烈なインパクトを失っていない。

本作以降、映画界とTV業界を行き来しながら活動を続けたが、1990年に54才の若さで死去。本作『SCUM/スカム』をはじめ、「Made in Britain」(1982)、「The Firm」(1989)、「Elephant」(1989/短編)という3本のTVムービー(いずれも日本未公開)は、その死後次第に評価を高め、欧米では今やカルト的な人気を集めている。

また『ガンモ』(1997)、『スプリング・ブレイカーズ』(2012)などで知られる鬼才、ハーモニー・コリン監督も、あるインタビューでクラーク監督を絶賛し、“もし誰かに一番好きな、もしくは最も偉大だと思う監督は? と聞かれたら、躊躇なくアラン・クラークと答える。彼の自然な語り口と作品の本質を突いた演出は本当に凄い。クラーク監督の表現以外の何物でもない。実は取材で彼の話をするのは好きではないんだ。誰も分かってくれないから。しかし彼こそ世界で最後の本当の聖なる映画監督だ。特にアメリカでは誰も彼のことを知らないし、イギリスでも知っている人は少ないんだ”と語っている。

故アラン・クラーク監督の代表作であり衝撃作『SCUM/スカム』は、10月11日(土)より、新宿シネマ・カリテにてレイトショー公開。

『SCUM/スカム』

10月11日(土)より、新宿シネマカリテにて陰鬱のレイトショー!

監督:アラン・クラーク「MADE IN BRITAIN」
脚本・原案:ロイ・ミントン「バッド・ガールズ」
製作:ダヴィーナ・ベリング&クライヴ・パーソンズ「アイ・アム・デビッド」
製作補:マーティン・キャンベル「007/カジノ・ロワイヤル」監督
製作総指揮:ドン・ボイド「ラスト・オブ・イングランド」
撮影:フィル・メヒュー「007/ゴールデンアイ」
編集:マイケル・ブラッドセル「恋する女たち」
出演:レイ・ウィンストン「ディパーテッド」、ミック・フォード「光年のかなた」、ジュリアン・ファース「バンク・ジョブ」、フィル・ダニエルズ「さらば青春の光」
1979年/イギリス映画/97分/ビスタサイズ/デジタル上映/字幕監修:TAYLOW(the原爆オナニーズ)
提供・配給:キングレコード 配給協力・宣伝:ビーズインターナショナル
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