生きることは、食べること。食べることは、作ること。

人公・いち子は東京の生活で自分の居場所を見つけられず、幼少期に母に育てられた東北の小さな村“小森”で自給自足する生活を送る。スーパーもコンビニも近くにはない小森でいち子は、パンもジャムもソースでさえ自分1人で作り、魚や合鴨も自らさばく。全ては生きていくためには必要なことだから。そんな、いち子の小森での生活は“生きることは、食べること。食べることは、作ること。”という、我々が忘れかけていた、大切なことを思い出させてくれる。

【レビュー】生きる=食べる=作る。橋本愛主演『リトル・フォレスト 夏・秋』公開まもなく film140825_littleforest_4

本作『リトル・フォレスト』は、四季折々の景色の美しさを余すこと無く映し出すために、岩手県奥州市等で約一年にも及ぶ撮影を敢行し、8月30日公開の「夏・秋」と来年2月14公開予定の「冬・春」との二部作になっている。原作は月刊アフタヌーンで連載された五十嵐大介の同名人気コミック。主人公・いち子を演じるのは、『あまちゃん』を始め『告白』、『桐島、部活やめるってよ』等、国民的人気を得た女優・橋本愛が演じる。脇を固める俳優陣には三浦貴大、温水洋一、桐島かれん、橋本愛と『あまちゃん』でも共演した、マルチに活躍している現在話題の女優・松岡茉優。監督は『重力ピエロ』で世界からも高い評価を得た森淳一だ。本作は、いち子が食材を調理していく姿も丁寧に描かれており、出来上がった料理は思わず惚れ惚れとしてしまう。原作に登場する料理を忠実に再現したのは人気雑誌・hanakoやcasa BRUTUSで連載をもつフードクリエイティブチーム・eatrip。また、時間にとらわれず空の色に合わせた小森での生活の映像は、橋本愛のナレーションと宮内優里のリズミカルな音楽が上手く合わさり、心地良い感覚にさせられる。

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「夏・秋」では、小森の生活に満足しながらも、一生小森で生きていく決意はできないいち子の葛藤や、突然いなくなってしまった母への想いも描かれ、これからいち子がどんな決断を下すのか、「冬・春」も見逃せない展開となっている。

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text by Kawarai Rina(Qetic)

『リトル・フォレスト』

2014年8月30日(土)夏・秋 ロードショー
2015年2月14日(土)冬・春 ロードショー


原作:五十嵐大介(講談社 月刊アフタヌーン所載)
監督・脚本:森淳一「重力ピエロ」「Laundry」
プロデューサー:守屋圭一郎「永遠の0」、石田聡子
出演:橋本愛、三浦貴大、松岡茉優、温水洋一、桐島かれん
主題歌:FLOWER FLOWER 「夏」「秋」「冬」「春」(gr8!Records)
配給:松竹メディア事業部
(C) 「リトル・フォレスト」製作委員会