“ポーランド映画”と言われて思い浮かぶ映画はありますか? 映画をよく観ている方ですと、アンジェイ・ワイダ、ロマン・ポランスキーやイエジー・スコリモフスキなどの監督をご存知かも知れません。最近の話しですと、今年度<アカデミー外国語賞>を受賞した映画『イーダ』の監督もポーランド出身の映画監督です。そして今回ご紹介する映画『イマジン』も、そんな国・ポーランドから届きました。しかし、舞台は首都リスボンをもつポルトガル、主演の二人は英国人とルーマニア系ドイツ人と、かなり国際色豊か。石畳が続く古都リスボンの美しい街並を存分に味わう事ができる、GWにピッタリの映画です。

リスボンを舞台に、盲目の男女の恋愛を描いた映画『イマジン』公開 film150422_imagine_2

そしてこの映画、主人公のイアンが珍しい人物なのです。彼は盲目なのですが、白い杖を使わずに“反響定位”という、あまり私たちに耳馴染みのないテクニックを使って生活をしています。“反響定位”とは、自分が鳴らした音の反響の違いによって、モノの位置や距離感を掴むシステムです。自分が鳴らす音とは、例えば舌を鳴らすだとか、靴音を鳴らすとか。そんな微かな違いで、モノの距離感を掴むことなど、可能なのでしょうか。この映画は、そのシステムを描いているために大変繊細な音響設計となっています。ぜひここに注目して劇中、耳を澄まして様々な音を聴いていただきたいです。

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普段、私たちがどれだけ視覚だけを頼りに「見えている」と過信して生きていているのか、見終わった後に深く考えさせられられます。盲目の男女を描いた上質な一本。オススメです。

(edit by Rina Kawarai)

イマジン

2015年04月25日(土)より渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開

監督・脚本:アンジェイ・ヤキモフスキ
出演:エドワード・ホッグ、アレクサンドラ・マリア・ララ
配給:マーメイドフィルム
(C)ZAiR
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