3月19日(土)より新宿シネマカリテにてレイトショー公開となる1981年制作の音楽ドキュメンタリー映画『ザ・デクライン』は、女性監督のペネロープ・スフィーリスが1979年から、1980年頃のアメリカ・ロサンゼルスの音楽シーン/ユースカルチャーをとらえた作品で、以後全米に爆発的に広まったアメリカのパンクロック/ハードコアムーブメントのまさにその発火点を記録した歴史的な重要作。そして本作と、中にフィーチャーされたバンドたちが多くの海外ミュージシャンやロックファンたちを虜にしてきたことでも有名である。

元ニルヴァーナ、現フー・ファイターズのデイヴ・グロールは12歳の頃に『ザ・デクライン』のオリジナルサウンドトラックLPを人生初のパンクロックのレコードとして入手、これに衝撃を受けてバンドマンになることを決意したと公言しており、フー・ファイターズのサイトでも自身が最も好きなドキュメンタリー映画の1位に上げている。映画監督としても数作手掛けているグロールは『ザ・デクライン』のフッテージを自身の映画に使いたいとペネロープ・スフィーリス監督に直談判するほどで、その縁で昨年アメリカでブルーレイ化された際には音声解説もつとめている。ちなみに映画はロサンゼルス最初期の伝説的パンクロックバンドGERMS(ジャームス、カリスマボーカルのダービー・クラッシュが映画公開直前の1980年12月7日に自殺しバンド消滅)の貴重な映像がおさめられていることもポイントのひとつ。

GERMSの大ファンだったニルヴァーナのカート・コバーンは生前の1993年に自らそのGERMSのギタリストだったパット・スミアにニルヴァーナへの参加を依頼、当時ニルヴァーナのドラマーだったデイヴ・グロールはこの時点で初めてパット・スミアと同じバンドで組むこととなるが、その後カート・コバーンの自殺でニルヴァーナが消滅後、 自身のバンドであるフー・ファイターズを立ち上げるが、そのメンバーとして今でもギターを弾いているのがパット・スミア。様々なめぐり合わせがあってのことだが、このGERMS、ニルヴァーナ、フー・ファイターズを、無意識であっても結果的に結び付けていた一番最初の出会いが映画『ザ・デクライン』とそのサントラLPだったことは興味深い事実である。

ザ・デクライン

3月19日(土)より、新宿シネマカリテにてレイトショー
3月26日(土)より、渋谷HUMAXシネマにてレイトショー!

監督:ペネロープ・スフィーリス
出演:BLACK FLAG、GERMS、FEAR、ALICE BAG BAND、CATHOLIC DISCIPLINE、CIRCLE JERKS、X
1981年アメリカ映画/1986年劇場公開作品/100分
描かれる音楽ジャンル=LAパンク、ハードコア
THE DECLINE OF WESTERN CIVILIZATION © 1981 Spheeris Films Inc. All Rights Reserved.

STORY:
アジトの教会を紹介するBLACK FLAG。「ビールくれ!」-ダービー・クラッシュ(GERMS)リー・ヴィング(FEAR)は客を殴打して「レコード会社の人間は死ね」と叫ぶ! 最後に遺された革命、LAパンク暴発の瞬間をおさめた衝撃の記録。

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