Posted on 2010/02/05 金 19:10 Feature_Music |

なんという緊張感の足りなさ! だが、それがいい。
ペイヴメントの再始動に導かれるように、お世辞にも上手いとは言えない演奏と、底抜けにラディカルな佇まいが愛さずにはいられない、所謂「ローファイ」なサウンドを鳴らす新参バンドが雨後の筍のように続出している今日この頃。そんな中、サン・ディエゴ出身の非モテ男子4人組で構成されたザ・ソフト・パックは、まさにローファイ・ロックの超ド級ニューカマーと呼べる存在ではないか。まずは、既発のシングルとEPに収録されている代表曲”エクスティンクション”のミュージック・ビデオを見てほしい。フロントマン、マット・ランキンのユル過ぎる演技と、信じられないほどダサいシャツのはみ出しぶりに、思わず失笑してしまう。しかし、気付けば何度も動画を再生している自分に「おやおや?」と気付いた時にはもう手遅れ。「3分未満のポップ・ソング職人」こと、彼らソフト・パックの術中にすっかりハマってしまったことになる。
本格的に活動をスタートしてからまだ若干2~3年という彼らは、結成当初はザ・ムスリムスという、特別な宗派をも意味する非常にきわどいバンド名で、アメリカ各地のライヴ・ハウスに数多く出没。マイスペースにアップしたデモ音源や、思いのほかソリッドなパフォーマンスが話題を集め、2008年の<CMJ Music Marathon>(毎年ニューヨーク近郊で行われる、新人アーティスト発掘の場としても知られる都市型フェスティバル)に出演するころには、現在の不動のメンバーが顔を揃えていた。その頃、周囲からの意見(攻撃?)もあり、バンド名の変更を余技なくされることに。そこでユーモア溢れる彼らは、インターネットで見つけた大人のおもちゃ「ディルド」の商品名「ソフト・パック」を拝借。より一層きわどい名前として生まれ変わった4人はその後、破竹の勢いでインディ界のスターダムを駆け上った。そしてフランツ・フェルディナンドや、フェニックスなどのオープニング・アクトを含む怒濤のツアーを完遂。若い彼らにとってこれらの大きな“経験”は、曲作りの原動力へと代わる。そうして、昨年の夏より1stアルバムの制作が始まり、セルフタイトルを冠した本作には、元ガールズ・アゲインスト・ボーイズのメンバーでもあるイーライ・ジャーニーをプロデューサーに迎え、ニューヨークで完成されたのだ。

REM、テレヴィジョン、ウィーザー、ワイヤー、ザ・フォール、ジ・オンリー・ワンズと、ソフト・パックのルーツとして挙げられるバンドは数多く、このアルバムを一聴するだけで、いかに彼らが本気でレコーディングを楽しんでいたのかが手に取るように伝わってくる。ライヴでコール&レスポンスを巻き起こしそうな“カモン”から、ヴァセリンズを彷彿とさせる2曲目“ダウン・オン・ラヴィング”で聴こえるオープニングは最高にリスナーを鼓舞してくれる。さらに軽快なギター・リフに乗っかるマットのハスキーな歌声は、何よりも魅力的なバンドの武器である。パブ・ロックにアイリッシュ・パンクあり、ガレージ、ブルース、ロカビリー、カントリー、オリエンタルありといった、とことん雑食で、とことんフリーダムな音楽性。全10曲32分という小細工なしの潔さは、「テン年代」のバンドならではの同時代性と、鮮烈すぎるデビューに思わず胸が躍る。そう、ローファイ・ロックの新章は彼らの手によって開かれるのだ。
(text by Kohei Ueno)
Now on sale!!
Artist : The Soft Pack (ザ・ソフト・パック)
Title : The Soft Pack (ザ・ソフト・パック)
Label : Heavenly Recordings / Co-op / Hostess
Cat No. : HSE-70101~70102
Price : \2,490 (tax incl.)
※日本語解説付き、日本盤ボーナストラック2曲収録
脱力系カルテット、ザ・ソフト・パックからのハードな犯行声明を今すぐに聞く… – http://tinyurl.com/yerw2ja
イキがいいなー
http://www.qetic.jp/featured/feature_music/16767.html