薫風の砌、桜の花が散り青々とした新緑にの中に、藤や春牡丹といった季節のいろが混じりつつある候、みなさまはお元気でお過ごしでしょうか?

さて、今回は昨年のこの時期に掲載致しました「5月病の人に捧げるレシピ」の2016年版を紹介致します。

去年を振り返りますと、五月病は、4月の年度初めに生活環境の変化に対応しきれずに、そのまま長期休暇を迎え、休暇中の平穏な状態から、適応できていない環境へ再び戻るのが億劫になることが要因で、原因不明の体調不良や、精神的に不安定になり、適応障害、うつ病に似た症状が起こることです。そこで、適応できない環境へ戻る活力となるものを食べようというものでした。

それを踏まえつつ、今年は去年とは違った方向から、五月病の原因と食を用いた対策を考えてみたいと思います。

去年は、精神的な部分にフォーカスをあてましたが、今年は、天候のなどが及ぼす体調の変化などをにもフォーカスを当てたいと思います。

去年の暮くらいから暖冬が続いたと思えば、桜が散り始めたのに急に寒くなり、しまったばかりの冬物を引きずり出す、なんてこともありました。
今年は特に天候が不安定だったように感じますが、毎年、この時期は天候が安定しないものです。

これが原因で、自立神経系などが不調を起こしバテしてしまうことが、五月病の要因の一つなのかもしれません。

つまり、五月病の正体は、4月に新年度が始まり、環境が変化することによっておこる適応障害と、この時期特有の天候が不安定なことでおこるバテの症状が重なり、精神的、肉体的に不調になることではないかと考えられます。

では、この様な状態の人にどの様な食を用意するべきか?

今、思い返すと、去年のように活力付けるのに肉食べろ! って言うのはとても粗野ですし、バテてるから素麺やお粥の様な消化にいいものを勧めるのもなんだか芸がない。

色々と調べたり、思案した結果、カレーが良いという結果に至りました。

カレーはインド〜東南アジア付近の暑く体力消費の激しい地域で、様々な効能のあるスパイスを配合し体調をチューニングするという狙いもあって生まれた料理です。

この体調をチューニングするとい効果は、バテた人には最適な食と言えます。

また、ここ近年の学術的な調査で、カレーに含まれるクルクミンなどが、腸内細菌を活性化しセロトニンの分泌を促進し、ストレス解消の一助になることがわかってきています。

カレーさえ食べてれば良いというわけではないのですが、精神面に及ぼす作用として、今回のテーマにはピッタリだと思います。

ところで、一言でカレーと言いましても、インド〜東南アジアで生まれ、交易の過程でアジアに広がり、地上に日の沈むことなき大英帝国が吸収し無責任に世界中に広めたため、現地の郷土料理と融合し何が何だかわからない料理の総称です。

日本の場合、様々な議論がありますが、煮込み料理と融合してしまい、これだとスパイスの効きが悪い。
そこで、ムスリムの商人たちがタイに持ち込みタイ南部で独自に発展したレシピをベースにします。このレシピはスパイスを効果的に使いつつ、ココナッツミルクを使い辛さを抑えているのが良いと思えたからです。

また、メインとなる具はチキンにしたいと思います。なぜなら、疲労回復を狙うなら豚肉が良いのですが、このレシピはムスリムが考えたものです。ここで豚肉を使ってしまうと、西洋人が天ぷらにケッチャプをかけて食べるようなもので、彼らの文化や習慣、歴史、信条などに対して敬意を失することになるからです。(余談ですがここ最近、仕事で海外に行き、ホームシックから現地で和食を食し、大いに傷付きました。色々と問題はあると思いますし、食も含めてグローバリゼーションは必要なことだと思いますが、何か違和感が残ります。ここに関してもしっかり考えて答えを出し、何時になるかわかりませんが、自分なりの答えをみなさんにお伝えできればと考えています。)

さて、暑くなりつつあるこの時期に肉体的に、また、環境の変化で煩瑣な事が多いこの時期に精神的にも、微力ながら一助となれば幸いです。

下記にレシピをまとめましたのでご参照下さい。

5月病の人に捧げるレシピ – チキンカレー

材料

・カレーペーストの材料
・赤玉ねぎ…2玉
・ニンニク…4片
・生姜…1片(だいたい60gくらい)
・鷹の爪…4本
・ターメリック…10g
・カレー粉…120g

調味料

・ココナッツミルクパウダー…100g
・ぬる湯…1200cc
・ナンプラー…30cc
・顆粒鶏ガラスープ…30g
・味の素…適量
・塩…適量

・手羽先…12本
・赤パプリカ…1玉
・スナップエンドウ…1パック
・ナス…1本
・タイ米…3合

作り方

1、タイ米を軽く洗い、炊飯器で炊飯する。(早炊き推奨)
2、赤玉ねぎ、ニンニク、生姜をすりおろし、鷹の爪、ターメリック、カレー粉、塩を加え良く混ぜ合わせカレーペーストを作る。
3、手羽先を1のカレーペーストで漬け込む。(手羽先の表面にターメリックの色がつくくらい)
4、手羽先とカレーペーストを分け、深めの鍋でカレーペーストの玉ねぎの苦味がなくなるまで炒める。
5、4にぬる湯で溶いたココナッツミルクパウダーの半分、ナンプラー、顆粒鶏ガラスープ、手羽先を加え煮込む。
6、赤パプリカ、スナップエンドウ、ナスを食べやすい大きさにカットし、素揚げにする。
7、5の手羽先に十分火が通ったら、火を止め、ぬる湯で溶いたココナッツミルクパウダーの半分を加え、塩、味の素で味を整える。
8、器にタイ米、素揚げした野菜、ルーを盛りつけ完成。

※今回の付け合せの野菜は、仕入れの際に鮮度の良かったものを選びましたが、野菜はお好みのものをお選びください。
※カレーペーストを作るのが面倒であれば、市販のイエローカレーペーストにすりおろし玉ねぎを加えるだけでも可。

『チキンカレー』5月病の人に捧げるレシピ column160516_recipi_2