宵一刻値千金の砌、遠くに咲く桜の花がいちご味の綿飴のように見え心身ともに和らぐ候、皆様に於かれましては、ますますご壮健のこと、慶び申し上げます。

さて、「花見に捧げるレシピ」の最終回となる今回は、日本酒に合わせたものをご紹介致します。

ビールの時も、ワインの時もそうでしたが、日本酒にも種類があり、普遍的に日本酒に合う料理は存在しません。

また、花見の席では、それぞれがそれぞれの趣向を凝らしたの酒を持ち寄りますので、辛いの、甘いの、しゃんとしたの様々な日本酒が花見の席に上がるでしょう。

「昆布梅」 – バレンタインに捧げるレシピ』の時にも同じようなことを述べましたが、それぞれがそれぞれ趣向を凝らして花見の席に持参したお酒です。その趣向を読めずにただ酒気に酔っていては、グルーヴは生まれるでしょうが、互いの深い理解には繋がらないでしょう。

そこで、深く趣向を読み合うために、日本酒の利酒をする時に口直しに食すゆで卵に習い、ゆで卵を味覚を改められつつも、酒に合う肴にアレンジしました。

淡白な白身で口内の味や香りを和らげ、黄身のコクで味蕾を癒やし、ガリの清淡さで次の酒に構える。この料理は楽しみつつも次へ構える一品です。

それぞれの趣向を読み、深い理解に繋がる一品になれば幸いです。

下記にレシピをまとめたので、ご参照下さい。

花見に捧げる料理③:ガリたまご

材料
卵…3玉
酢…適量
味醂…15cc
ガリ…30g
万能葱…適量

作り方
①.卵が十分に浸かるほどの水をはった鍋に、殻のひび割れを防ぐために酢を加え十分に沸騰させる。
②.1日以上常温で保管した卵を鍋に入れ、10分ほど茹でる。
③.殻をわらない様、ぬるめの水を徐々に鍋に加え、水温を下げる。
④.人肌ぐらいの温度になったら、氷水に30分漬け完全に熱を取り、殻をむく。
⑤.卵を半分に切り黄身を取り出す。
⑥.⑤に、味醂と刻んだガリを加え、良く混ぜ合わせる。
⑦.白身に⑥を詰める。
⑧.薬味に万能葱を添えて完成。

「ガリたまご」- 花見に捧げるレシピ③ column150402_okamura_2

岡村飛龍
「ガリたまご」- 花見に捧げるレシピ③ column_recipe_okamura-in01