Posted on 2010/01/27 水 13:27 Music |
この組み合わせに興奮しない人なんているのだろうか? フランスの天才女優シャルロット・ゲンズブールの約3年振りのニュー・アルバム『IRM』は、あのベック・ハンセンが作詞・作曲からプロデュースまでを手掛け、ジョーイ・ワロンカーやブライアン・ルバートン、ベックの実父デヴィッド・キャンベルといったお馴染みの凄腕ミュージシャンたちがレコーディングに参加した、とんでもない傑作だ。
昨年末にオフィシャルで無料配信されていた表題曲“IRM”が、原始的でトライバルなビートを前面に打ち出した多国籍のサウンドだったことから予想は出来たものの、本作の全編を覆うデカダンスなムード、モノクロのアートワーク、厭世的な詩世界などは、まさしくベックの『モダン・ギルト』(08)の続編、或いは姉妹編とも呼べる仕上がりになっている。
2人を繋ぎ合わせた張本人は、前作『5:55』(06)でプロデューサーを務めたナイジェル・ゴドリッチ。実は、既にその頃からベックに対するラブコールがあったのだが、当時の彼は非常に多忙だったため先送りになっていた。つまり、本作はシャルロットの数年越しの願いが叶った1枚なのだ。彼女が13歳の時に、亡き父親のセルジュ・ゲンズブールと共演したデビュー・アルバム『シャルロット・フォー・エヴァー』(86)以来で、20年以上もの歳月を経て発表された2ndに当たる『5:55』は、ソングライティングに元パルプのジャーヴィス・コッカー、作曲と演奏にエールの2人を招き、ピアノとストリングスを主軸に置いた夢見心地のサウンドスケープが大きな特徴だった(こちらもデヴィッド・キャンベルが参加している)。本作『IRM』は、パーカッシヴな第三世界の音楽を多く取り入れ、ビート感を強調したミックスを施すことで、フライング・ロータスなどの新進気鋭トラックメイカーが集う、LAの<ロウ・エンド・セオリー>周辺ともリンクする同時代性を獲得することに成功している。それは、大半の楽曲がLAのベックの自宅でレコーディングされたという事実と無縁ではないだろう(そう思ったら先日、第1弾シングルでもあるデュエット曲“ヘヴン・キャン・ウェイト”のノサッジ・シングによるリミックスが届き、確信に変わった)。

そもそも、ベックの最高傑作『シー・チェンジ』(02)は、彼自身も大ファンであることを公言しているように、セルジュの『メロディ・ネルソンの物語』(71)からインスパイアされたオマージュ作品とも呼べる内容だった。しかし、共同作業を進める上でセルジュの名前が出されることは、ほとんどなかったという。
「私にとって父の存在は未だに大きいもので、ベックもそのことに気付いていたと思う――(中略)――ベックが私の父についてどれくらい理解しているのかを、知る必要はなかった。秘密にしたほうがいいと思ったの」
今では2児の母親となったシャルロットも、父親の不在は想像以上にヘヴィーな現実問題として影を落としていたようだ。
前作のリリースに際して行われたインタビューでも、
「父の歌詞があまりに大きくて、すぐに自分と比べてしまうから、英語で歌うことによって自分らしくいられる」
と語っていたように、今まで意識的に母国語のフランス語で歌うことは避けてきたが、本作にはカナダの大御所シンガー・ソングライター、ジャン=ピエール・フェルランの楽曲“ル・シャ・ドゥ・カフェ・デ・アーティスト”が、唯一のフランス語のナンバーとして収録されている。まさにセルジュの人気絶頂期、1970年ごろにリリースされたこの曲のカヴァーを提案したのは、他でもないベックだった。
ご存知のファンもいるだろうが、彼は自身のオフィシャル・サイトで〈Record Club〉という画期的なプロジェクトを展開中。豪華ゲストを招き、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのアルバムを丸ごとカヴァーしたり、ミックス音源やビデオを配信したり、トム・ウェイツにインタビューを行ったり、次々と実験的なコンテンツを世に送り出すことで音楽的ルーツを見直そうとしている。これは推察に過ぎないけども、彼はシャルロットに「フランス語の壁」と向き合ってもらうことで、セルジュ・ゲンズブールへの最大のリスペクトを表明したのではないか。結果として、『IRM』で聞ける彼女の歌声は翼を得たように自由で、凛とした表情を覗かせるほどに成長を遂げた。
共に偉大な父親を持つ、ほぼ同年代の二世アーティストという共通点があるベックとシャルロット。今回のコラボレーションは決して奇跡なんかではなく、運命だったに違いない。
(text by Kohei Ueno)
Artist: Charlotte Gainsbourg(シャルロット・ゲンズブール)
Title: IRM
WARNER MUJIC JAPAN
WPCR-13727
\2,580(tax in)
▼過去カタログ
Artist: Charlotte Gainsbourg
Title: “5:55”
ベックが全面プロデュース! 女優シャルロット・ゲンズブールの新作は、偉大… – http://tinyurl.com/ybytku5
れびゅったー RT @Qetic: ベックが全面プロデュース! 女優シャルロット・ゲンズブールの新作は、偉大… – http://tinyurl.com/ybytku5
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なぬっ?! QT ベックが全面プロデュース! 女優シャルロット・ゲンズブールの新作は、偉大なる父親へ捧げた究極のリスペクト http://www.qetic.jp/categories/music/16268.html
要チェックな予感・・。
ベックが全面プロデュース! 女優シャルロット・ゲンズブールの新作は、偉大なる父親へ捧げた究極のリスペクト http://www.qetic.jp/categories/music/16268.html
シャルロット・ゲンズブール×ベック。ハマり過ぎ、、、http://bit.ly/cooNuv