kim(UHNELLYS)

コラムニスト

声とバリトンギターによるリアルタイムサンプリングと、それにジャストのタイミングで合わせたドラムを基盤に、ロック、ヒップホップ、ジャズの垣根を飛び越えた唯一無二のサウンドを構築する「UHNELLYS」で歌う男。2013年には2度目の<FUJI ROCK FESTIVAL>に出演し、夜の食堂を大いに盛り上げる。そして2014年3月、自身で設立したレーベル、〈I’mOK〉から5thアルバム『CHORD』をリリース。何度でも言うが音楽は素晴らしい。

kim(UHNELLYS)

反する響き

「WAR PIGS!」今、東京を歩けばこの落書きを至る所で見つけることができる。「戦争豚野郎」とでも訳すのだろうか。戦争に向かう政府に対する、強い反抗のメッセージだ。

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kim(UHNELLYS)

1人と1匹

僕が交通事故を起こし、両足とプロバスケットボールの選手生命を失ったのが半年前。厳しいリハビリを続け、やっと車椅子で出掛けるようになったばかりだ。本当はすぐにでもチームのメンバー達に謝りに行きたかった。

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悪夢の中で

目が覚めると乗客は私だけになっていた。過ぎ行く車窓の景色も見慣れない。もしかしたら終点さえも寝過ごして、車庫に向かっているのかも知れない。駅から2、3駅までの記憶はあるんだけど。すっかり眠ってしまった。最近は毎日終電まで終わらない仕事のせいで心も体も疲れ切っている。でもこんな失敗は初めてだ。私は反省しながらひとつ大きく深呼吸をして、バスの運転手に声をかける準備をした。

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許されざる者

敵対する抗争グループと揉め事を起こした私は、妻と息子を捨てて故郷を離れた。1人だけ助かりたかったわけではない。3人で逃げていたらすぐに見つかって3人とも殺されてしまうからだ。

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一目惚れ

「ウチは居酒屋だから住み着かれると困るんだ」そんな苦情が来て、私は渋々現場に向かった。保健所で働き始めてもう15年以上経つが、野生動物管理の仕事は未だに慣れることが出来ない。

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kim(UHNELLYS)

食べて。食べないで。

ママが痩せ始めたのは離婚して半年くらい経ってから。2人暮らしなのに食べ切れないほどの料理を作ってしまうママに、私はあえて何も言わなかった。きっと寂しいんだろうって、そのうち2人分に慣れてくれるだろうって思ってた。だけど実際はその逆だった。

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kim(UHNELLYS)

ボーイミーツガール

売れないミュージシャンが男の中で最低だと思う。お金は持ってない、酒癖は悪い、そのくせ態度は大きい。でもそんな男がステージに上がっている時だけに垣間見せる、野生の獣の様な目つきで全部許してしまう自分がいる。

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揺れる船

この湖で漁を始めて40年。親父がついに漁をやめると決心した。母親からそんな連絡をもらって、僕は数年振りに実家に帰って来た。

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kim(UHNELLYS)

行方しれず

いつからなのか分からないが僕はお婆に育てられた。かすかにだけど父親も母親もいた記憶がある。でも物心ついたときからは、ずっとお婆と2人だけで生活していた。

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kim(UHNELLYS)

お元気ですか

どんなに金を使っても使い切れなかった。銀座で数百万円ほど酒を呑み、お気に入りの女を高級マンションに連れ帰る毎日。たった2人だけで事業を成功させた私達はそんな生活を大いに満喫し、こんな日々がずっと続くと思っていた。

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kim(UHNELLYS)

空飛ぶイルカ

休憩時間が終わり、俺は本番の水槽に移動した。もう腹が減って仕方がない。俺達は30分のショーを1日4回やらされている。この時間にしか餌がもらえないから俺達は言われた通りに飛び回るんだ。

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kim(UHNELLYS)

思い出してごらん

ここは随分と山奥にある寂れたお寺。もう誰も管理していないから草も伸び放題だし境内もすすだらけ。でも私はわざわざここに来ている。

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kim(UHNELLYS)

予感

初めてのデートは高校2年の春休みだったわ。相手は休み時間になるといつもふざけ合っていた子。ある時意外にもお互いに映画が好きって事が分かって、思い切って映画祭に誘ってみたら顔を赤くしながらOKしてくれたの。

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歪み

「弟さんを勾留しているんですが何も話さないんです。このままだと留置所に入れることになるので親族に連絡を取りました」と警察から連絡をもらい、僕はすぐに弟が勾留されている警察署に向かった。

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kim(UHNELLYS)

信じるものは救われる

地下鉄から地上に出た途端、あまりの夕陽の眩しさに僕は目を細めた。もうそんな時間だったかなと腕時計を確認するとまだ15時過ぎ。会社にはもう少しゆっくり戻ることにして、僕はしばらく早すぎる夕陽を眺めていた。

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kim(UHNELLYS)

猫のミキオ

「何か用事かね? さっきからワシらを見ているじゃないか。」すみません、2人は凄く仲が良いなと思って見つめてしまいました。随分長く一緒に過ごしているんですか?

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生涯を捧げて

思っていたほど衝撃は無かった。私の車が頑丈だったからかも知れない。車内に鈍い音が響いた瞬間、背の高い男は数メートル先まで吹っ飛んで、畑の中にゴロゴロと転がった。

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kim(UHNELLYS)

片腕のテキ屋

僕は祭りが嫌いだった。屋台で焼きそばを作っている親父を友達に見られるのが恥ずかしかったからだ。親父は生まれつき左腕が無くて片腕だけで焼きそばを作る。

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その手を離せ

ジャリジャリと鎖を引きずる音がする。一体何の音だろう、と振り向くと汚れた犬が僕を見上げていた。

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kim(UHNELLYS)

ねじれた先に

「フジタタカノブさんですね」駅のホームで電車を待っていると、誰かが大きい声で言ったのが聞こえた。なんとなく声の方向を見ると、妙に目の据わった警備員の男が立っている。

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kim(UHNELLYS)

小さい秋

「すみません、紅葉は今どうなっていますか?」散歩していた公園で僕は突然外国人に話しかけられた。もう散り始めてますが色はまだまだ鮮やかですね、と答えると「散り始めたんですね」と寂しそうに呟いた。

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kim(UHNELLYS)

あなたとならば

「母親がいれば大丈夫。男の子なんて勝手に育つんだから」近所のおばあちゃんがそう言って励ましてくれたけど、男兄弟を女手ひとつで育てるのはとても大変だった。

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kim(UHNELLYS)

Talk To Me

部屋にある材料で作業すること数時間。完成したのは僕が愛した女性の顔だった。ラジオからたまたま彼女が好きだった曲がかかったから、朝から頑張ってしまった。

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kim(UHNELLYS)

母とのランチ

「部長がデスクで弁当食べてるとランチに行きづらいんです」と部下に言われた。確かに普段から私は弁当を食べることが多い。出張の時も移動中には必ず弁当を買うし、仕事帰りにも安くなった弁当を買って帰る。

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kim(UHNELLYS)

思い出してごらん

僕は幽霊ということになる。自覚は無いけど生きていた時は自分でもそう呼んでいたから。

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kim(UHNELLYS)

近寄る蜘蛛

割れるような頭痛で目が覚めた。すぐに起き上がって水を飲みたい所だが、体は金縛りにあったかのようにぴくりとも動かない。昨日はそこまで酒は呑んでないはずだ。記憶が少し曖昧だがこの安いラブホテルに入った所までは憶えている。

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kim(UHNELLYS)

もう2度と

俺は借金がふくれあがった人達を作業現場に送り届ける仕事をしている。普通の人間なら大金を積まれたってやらないような仕事を、彼らは短くても半年は続けなくてはならない。

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kim(UHNELLYS)

私の妖怪

私と同い年のクラッシュ。世界記録の長寿犬が29歳だから、23歳のクラッシュも相当な老犬だ。もう目が見えないし耳もほとんど聴こえてないから、色々な場所にぶつかりながら私の臭いをたよりに近づいてくる。

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kim(UHNELLYS)

不安な犯罪者

「緊急停止致します」と船内放送が流れフェリーは止まってしまった。あと5分もすれば港に着くというのに。

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kim(UHNELLYS)

WE ARE YOUNG

やっと今朝描き終えたよ。どうにか君の誕生日に間に合った。この絵の元はきっとあれだろう、3年前にスペインを旅行した時の写真だ。30年間生やしてた口ひげを突然剃った私を、君がすごく気に入ってくれた時のものだ。

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kim(UHNELLYS)

線路は続くよどこまでも

嫌な予感がした訳ではない。でもいつもと何か違っていたのだと思う。私は駅に近づいた時、普段より早めにブレーキに手をかけていた。いつもの彼がいるのが見える。毎朝同じ場所に立ち、到着する電車の写真を次々と撮っている彼は、特に珍しくもない電車まで撮影してくれるので、運転士たちの間でかなり有名人だった。

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神輿が静かに揺れている

妻の目覚まし時計がけたたましく鳴っている。もう何分も鳴りっぱなしだ。

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不透明のままで

彼女が浮気していると勘違いした瞬間から僕の人生の終わりが始まった。携帯で楽しそうに話している相手が気になったり、いつもより帰りが遅い彼女に何度もメールしたり。僕とは到底不釣り合いな美人と付き合ったばかりに、彼女に対する独占欲は日に日に募るばかりだった。

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kim(UHNELLYS)

私から私へ

40年後の私は知らない男の人と公園デートをしていた。白昼堂々と肩を寄せ合い甘い言葉を交わしている2人の距離感は、明らかに大人の関係を匂わせている。

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9月の憂鬱

私達は映画を観に来た。夏休み最後の日という事もあって、子供連れの家族が多くロビーはとても賑わっていた。2つある女性用のトイレはどちらも外まで並んでいる。

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kim(UHNELLYS)

四季を運ぶ

「もう今年の夏は満喫したかね」公園のベンチでランチをしていた私に突然話しかけて来たのは、真夏にも関わらず厚手のスーツを着こなした初老の紳士だった。

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daoko 03

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