い女性を連れ去り、花婿一家が総出で説得して強引に結婚させる「誘拐結婚」。中央アジアのキルギスで今も続く驚きの「慣習」を、気鋭の女性写真家、林典子が世界最大規模の報道写真祭で最高賞を受賞した写真で綴る、真実の姿が。日経ナショナル ジオグラフィックから、「キルギスの誘拐結婚」が発売されました。

キルギスの誘拐結婚
キルギス語で誘拐結婚はAla Kachuu(アラ・カチュー)「奪って去る」という意味。政府は1994年に法律で誘拐結婚を禁じ、誘拐犯に最長で懲役3年が科せられることになっていたが、2013年に罰則が最高で10年に延びた。違法である誘拐結婚がなくならない原因は、一度入った男性の家から出るのは「純潔を失った」と見なされ、そこから出るのは「恥」と教えられてきた女性たちが諦めて結婚を受け入れるケースが多いからだ。拒否しつづけ自宅に戻れば、心無い噂を立てられたり、その後、結婚相手が見つかりにくいという現実がある。

長期の密着取材を慣行。実際の誘拐現場に遭遇して撮影された壮絶な真実
写真家、林典子は誘拐結婚した人々を取材するため、2012年7月からキルギスへ。4カ月間の滞在中、実際に誘拐現場に数回遭遇。誘拐で結婚した約25組の夫婦や女性たちの取材を行い、一度は結婚を受け入れたものの、数日後に逃げ出した女性や離婚の準備を進めている女性たちにも取材。さらに2014年1月末からは1カ月余りの追加取材を行い、彼女たちの今を撮影。本写真集には、そんな女性たちの壮絶な人生と現実の姿が写されている。

キルギスの誘拐結婚

気鋭の女性写真家、林典子が写した真実の姿。「キルギスの誘拐結婚」が発売 art140630_kyrgyz_sub

誘拐したトゥシュトンベックの自宅に連れてこられた、20歳の大学生、ファリーダ。トゥシュトンベックの身内の女性たちがファリーダを待ち構え、家の中へ無理やり連れて行く。

気鋭の女性写真家、林典子が写した真実の姿。「キルギスの誘拐結婚」が発売 art140630_kyrgyz_sub2

高校教師のアフマット(23歳)に誘拐された、22歳の大学生、ディナラ。アフマットの親族の女性から、花嫁の象徴である純白のスカーフを無理やりかぶせられそうになり、泣き叫びながら抵抗する。

気鋭の女性写真家、林典子が写した真実の姿。「キルギスの誘拐結婚」が発売 art140630_kyrgyz_sub3

深夜、台所で結婚パーティーの後片付けをしていたディナラに近づき、キスをするアフマット。

気鋭の女性写真家、林典子が写した真実の姿。「キルギスの誘拐結婚」が発売 art140630_kyrgyz_sub4

2014年2月、誘拐で結婚してから1年4カ月後、ディナラは臨月を迎えていた。

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