時代に口髭を生やすウェブマガジン “けてぃっく”

時代に口髭を生やすウェブマガジン Qetic(けてぃっく)

プレゼント応募

【フリーランスPR&ライター宮沢香奈が迫る!!】ベルリンカルチャーの魅力を紐解く旅vol.2
Twitter-Qetic

Hard Wax / photo by Mari Inoue (Berlin)

回に引き続き、ベルリンカルチャーの最大の魅力である音楽に迫ります!
今回は、vol.1の「クラブ編」でも述べたように、アーティストの大事な支えとなっているレコードショップの実態を探るべく、限られた時間の中でショップ取材を決行。さらには、現地アーティストやクリエイターからも貴重なコメントをもらってきました! 前回同様に現地ライターのガイドと合わせて紹介します。

ベルリンカルチャーを紐解く旅vol.2:レコードショップ編

Hard Wax / photo by Mari Inoue (Berlin)

まず、足を運んだのがベルリンを代表する老舗ショップであるHard Waxへ。オーナーであり、BASIC CHANNELとしても知られているMark Ernestusは、昨年、PRを担当させてもらってる野外パーティーのruralを含む、JAPANツアーで来日を果たしている。取材へ行った日は残念ながら不在だったが、長年のスタッフであるDJ PeteMichael Hainに会うことが出来た。古い洋館に入り口付近には野外レイブのゲートの様なデコ、館内の階段に貼られたステッカーやタギングの数々、店内には天井から吊り下げられた今にも落ちそうな巨大スピーカー2台。どこで撮影しても絵になる良い意味での廃荒感と圧倒的な存在感には感動を覚えた。

1996年に現在の場所であるクロイツベルク地区に移ったとのことだが、長年に渡り、テクノ、ダブの最前線として人気を集めてきた理由をMichael Hainに聞いた。“僕たちは特に有名になろうと思ってやってきたわけではない。自分たちが良いと思った音をただひたすらすすめてきただけ。昔から親しくしているMoritz Von Oswald TrioBurialなどのアーティストやレーベルを大事にしてきたことによって、今の結果がある。これからもそのスタイルは変わらない。”と。
(*本来インタビューはメールのみで対応とのこと。アーティストでもあるスタッフの撮影はNG)

melting point / photo by Rieko Matsui (Berlin) , Katsue Kikita

続いて、現地ライターRiekoの行きつけのショップでもあるmelting pointへ。オシャレなエリアとしても有名なミッテ地区の郊外の高級住宅街を思わせる優雅な場所に存在する。シンプルながらブランドショップやカフェにもなり得る洗練さが魅力だが、置いてあるのは大半が中古で、ジャンル問わずマニア向けのこだわりなセレクトも多い。オーナーのこだわりはレコードのセレクトのみならず、客層にもある。いかにも“観光ついでに寄りました”という感じで店内に入ると“キミはレコードを買いに来たの?”と確認されてしまうので、要注意。

Hard Waxも同様だが、レコードショップはあくまでもレコードを買うための場所であって、観光スポットではないのだ。今回は取材目的であり、レコードのジャケのアートワークやデジタルにはない独特な音は大好きであるが、DJでもなく、レコード収集はすでにやめてしまっている私が訪れるのは少し申し訳ない気がした。両店ともCDの数は圧倒的に少ないので、ヴァイナルジャンキーには是非ともおすすめしたい。
ベルリンではレコードショップだけに限らず、いろんなドアポリシーを持っている場所が多いので、そういったこだわりの文化を持つ街であることを尊重した上で楽しめると良い。

yone-ko / photo by Mari Inoue (Berlin)

昔からアーティストが住みやすい街と言われるベルリン。物価の安さももちろんあるが、何より“音楽と共存しやすい街”なのだろう。もともと現地での活動も多く、日本のテクノDJを代表する田中フミヤをはじめ、日本からもここ数年で移り住んだアーティストは数知れず。今回取材に協力してくれた友人DJのyone-koも日本で長年活動していたが、ベルリンをはじめとする海外でのギグを経て、一昨年より移り住んだ1人である。すでに前回の「クラブ編」でも紹介しているWilde RenateClub Der VisionäreWeekendなど、現地でも人気のクラブでプレイを重ねている。“才能あるアーティストが沢山いる中で刺激や手応えを感じている”とyone-ko本人は語る。今回は残念ながらスケジュールが合わず、彼のDJを聴く事が出来なかったが、今後最も注目したい日本人DJの1人である。
yone-koのサウンドはこちらで試聴可能なので是非チェックして欲しい。

さらには、A guy called GeraldAtom Heartのリリースを手掛けているLaboratory Instinct RecordsのオーナーであるRyo氏にも話を聞くことが出来た。“もともとベルリンのクラブはKitKat club(ボンテージなど一風変わったドレスコードがあることで有名)などをはじめ、ゲイカルチャーがメインだった。Berghainは出来てまだ8年だけど、そういったゲイやフリークスによって一般にも浸透し、世界的に有名なクラブとなった。僕たちがレーベルを立ち上げたのは2000年頃だけど、規制の多い日本では出来ないことが出来るのがこの街の魅力。やりたいことを自由に表現出来るし、可能性を引き出せる。”
その言葉通り、現在、Laboratoryでアーティスト兼プロデューサーとして活動しているOscar Burnside氏はなんと18歳! 13歳からDJをはじめ、若干18歳にして、Geraldとともに多くのMIXを手掛けているという。またしてもベルリンミラクルに遭遇してしまった。

セレブリティーな志向も変なプライドも必要ない。決められた型に自分をはめることなく、良いと思ったものをオリジナルなやり方で貫くだけ。これがベルリンスタイルなのかもしれない。
“自由”というのは一見、誰にも干渉されず、好きなことだけして楽に生きているように思われがちだが、街にも人にも文化にも無限の可能性を感じるこの街では、自由に生きるということはやりたいことに没頭しながら、まだ見ぬ自分のスペックを引き出せるチャンスがあるということなのかもしれない。

次回は、そんなマニアやフリークスさえも魅了するローカルクラブのパーティーに独占潜入取材!!
クラブカルチャー編ラストとなります。是非お見逃しなく!!

text by Kana Miyazawa
thanks to Naoko Yamauchi , Katsue Kikita

現地ライター松井理恵子がピックアップ! ベルリンのおすすめレコードショップガイド

Oderbergerstr. 4 / 10435 Berlin
OYE Records
ハウス、ディスコ系が特に充実している印象があるが、全体的にジャンルに偏りがなく、セレクションが抜群。お店のサイズも広すぎず程よく、マニアックに掘りたい人からレコード買い初心者まで、幅広い層がレコードショッピングを楽しめる。スタッフの対応も親切で、サービス、価格も良心的な一押しレコ屋。店頭の新譜セールbox、中古€1~2box等にも意外な掘出し物があったりするので、見逃せない。ゲストDJを招いてのインストア・イベントやラジオ・ショー、深夜特別営業デーといった音好きによる音好きのための催しも、頻繁に行っている。

Zossenerstr 33 / 10961 Berlin
spacehall record store
はじめて来店した人はきっと、その群を抜いた品揃えに圧倒されると共に、感動を覚えるだろう。お店の名前を想起させる、薄暗く広々とした店内は3フロアに分かれて、テクノ、ハウス、ディスコ、Hip Hop、ロックなどあらゆるジャンルが網羅されており、本気で掘ろうと思ったら一日ではとても足りない。ランダムには見切れない量の盤たちがレーベル別に整然と配置されているので、来店の際にはある程度の音楽知識を持っていることが望ましい。

Paul-Lincke-Ufer 44a / 10999 Berlin
Hard Wax
Basic Channel の Mark Ernestus が経営する、言わずと知れた大御所レコード店。店内に足を踏み入れると瞬時に、その洗練された空気を感じ取ることができる。厳選された密度の濃い品揃えが魅力で、テクノ12インチ、レゲエ7インチなどのラインナップがとくに秀逸。スタッフ、客層なども含めて、硬派度はNo.1。一流アーティストを招いてのインストア・イベントを開催したりも。ベルリン・テクノ界の中心地と言える。

kastanienallee 55 / 10119 berlin
melting point
ダンスクラシックスから四つ打ちまで、クラブミュージック全ジャンルにおける中古盤の品揃えが素晴らしい、生粋の音楽マニアのオーナーが個人で営むレコード屋。中古盤はほとんどが一枚€5だが、10枚買うとなんと半額の€25になるので、ヴァイナル・ジャンキーにはたまらない。店構えは決して大きくないにも関わらず、一流DJをはじめとして根強いファンも多く、ディグにハマり出すと3〜4時間は余裕で過ぎてしまう。

Weinbergsweg 3 / 10119 Berlin
Rotation
洋服、雑貨などのセレクト・ショップであると同時に、新譜および中古のレコードも扱っている。ファッション、音楽ともに、オーナーの愛情が感じられ、センスが光るエッジの効いた品揃え。お洒落なカフェやブティックが立ち並ぶ絶好のロケーションにあるのもうれしい。服や雑貨ショッピングをするお客さんの中で試聴機に向かって黙々とレコードを試聴するDJたちの姿が見られる、ちょっと面白いお店。

text by Rieko Matsui
photo by
Mari Inoue【Hard Wax】
Rieko Matsui【OYE , spacehall , melting ,Rotation】
Katsue Kikita【melting point】

ライタープロフィール

宮沢香奈(Kana Miyazawa)
セレクトショップでのプレス経験をもとに、インディペンデントなPR事業をスタートさせる。国内外のブランドプレスやパーティーなどのファッションPRとクラブイベントや大型フェス、レーベル、アーティストインタビューなどの音楽PR二本を軸にフリーランスとして奮闘中。今までにBIG BEACH FESTIVAL2009, 2011、rural2011,2012、XLAND2012、横浜ベイホール15th、ageha 10th anniversaryなどを手掛ける。ファッションにおいては、2012AWより国内初となるUNITED NUDEのPRに就任。その他、フリーライターとして執筆活動も行っている。

松井理恵子(Rieko Matsui)
ハードコア・クラバーおよびフロア・ダンサー、フリーランスライター。幼少期よりクラッシックを始めとする音楽、ダンスに親しみ、当時在住していたニューヨークにて4歳の頃、マイケル・ジャクソン『スリラー』と映画『フラッシュダンス』により、ダンス・ミュージックの洗礼を受ける。アーティストPR、日本での様々なイベントや取材時の通訳等の経験を経て、2010年よりクラブ・カルチャーのメッカ、ベルリンに移住。探求を続ける日々。